パナソニック アーキスケルトンデザイン、「テクノストラクチャー」工法に新提案を追加
繰り返す震度7にも耐える独自基準を設定
「テクノストラクチャー」工法に新提案の「テクノストラクチャーEX」を追加した。独自に生成した人工地震波を使ったシミュレーションなどにより、震度7クラスの巨大地震が繰り返しても耐えられる住宅設計を実現する。
2016年に発生した熊本地震は、観測史上初めて、震度7の地震が同一地点で2回発生し、建物に甚大な被害をもたらした。また、24年1月には、「令和6年能登半島地震」が発生。震度7の本震に加え、震度6弱以上も含む関連地震によって多くの建物が倒壊した。
複数回の巨大地震に耐えられる住宅設計が求められているなか、パナソニック アーキスケルトンデザインは、木造住宅の耐震構法「テクノストラクチャー」の新提案として「テクノストラクチャーEX」を追加、設計受付を開始した。
適切な「耐震+制震」の組み合わせで
建物へのダメージを最小限に
「テクノストラクチャー」工法で耐震性を確保しつつ、制震ダンパーを採用している。さらに、通常の「テクノストラクチャー」で邸別に行っている構造計算による強度確認に加え、地震による建物の変形を可視化できる「4D災害シミュレーション」を導入した。このシミュレーションでは、検討中のプランを基に仮想空間上に3Dモデルで建物を再現し、震度7の人工地震波を3回繰り返し与えることで、本当に建物の変化を抑制できているかを確認する。シミュレーションの結果、建物変形度合いが同社の設ける「住み続けられる」と判断できる基準を満たさない場合は構造設計の修正を行い、再度シミュレーションを実施。基準をクリアするまでこれを繰り返す。「住み続けられる」とは、補修により被災前の耐震性能相当まで復旧できる状態と定義している。こうして何度もシミュレーションを行い、制震ダンパーの適切な量と配置を確認することで、繰り返しの巨大地震に強い構造躯体を実現している。施主の希望により、シミュレーション動画を見ることができるオプションも用意した。
また、シミュレーションで用いる人工地震波は、木造住宅倒壊解析ソフトウェア「wallstat(ウォールスタット)」を使って作成した。過去に観測された地震波でもシミュレーションは可能だが、それらは揺れの方向や周期に偏りがあるため、巨大地震に対する純粋な耐震性を測ることは難しい。未知の地震に対する耐震性を公平に評価するため、人工地震波を採用した。
従来の「テクノストラクチャー」の22年度の供給実績は2700棟だった。同社は、24年度中に「テクノストラクチャー」での供給棟数の50%を「テクノストラクチャーEX」に置き換えていきたい考え。さらに、26年度中には「テクノストラクチャー」全棟を「EX」に変更し、1本化を図っていく方針だ。躯体商品統括部の押谷久仁男部長は「今後、パナソニックビルダーズグループの工務店向けに研修会の実施を予定している。動画などを使ってしっかりと『テクノストラクチャーEX』の設計手法を伝えて、スムーズに供給できる体制を整えていく」と普及への道筋を述べた。
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