設計者を「探し物」から解放しクリエイティブな業務に集中できる環境を創造したい
tecture 代表取締役社長 山根 脩平 氏
設計者のための検索プラットフォーム「TECTURE」。デザイン事例から家具や建材の商品情報、メーカーへのコンタクトまでをワンストップで完結することができ、新たに建材サンプルの一括請求サービスも開始した。tectureの山根脩平社長は、設計者を「探し物」から解放し、よりクリエイティブな業務に集中できる環境を構築することで、「空間デザインの未来を創造したい」と語る。
──もともとは隈研吾建築都市設計事務所に在籍していたそうですね。
大学卒業後、設計者として隈研吾建築都市設計事務所に在籍していました。当時、ほとんどのスタッフが大学院卒で、大学から事務所に入所したのは私くらいでした。入所してからは自分の経験不足を実感したため、人一倍働きました。大学院卒のスタッフとの差を埋めようと必死でしたね。まさに「寝る間も惜しんで」という感じです。正直、しんどかったですが、やりがいも感じていました。
9年程在籍し、歌舞伎座の建替え工事にも携わりました。隈研吾建築都市設計事務所を退所した後はLINEに転職し、ブランディングマネージャーとして働きました。
──設計事務所からIT系企業への転職というのは、異色の経歴という印象がありますが。
NHN JAPANという会社が、湯布院に現代美術館(COMICO ART MUSEUM YUFUIN)を建築するプロジェクトに携わったのが、LINEに転職するきっかけになりました。
NHN JAPANは、ゲームなどを開発している会社です。美術館建設の担当者の方と打ち合わせるためにオフィスに行くと、我々と全く異なる雰囲気の中で働いている姿に驚きました。思わず「なんか楽しそうですね」と担当者の方に言ってしまうほどでした。
我々の仕事は非常に長い年月をかけてプロジェクトを進めていきますが、IT業界ではソフトやサービスを開発し、あっという間に世の中を変えてしまうビジネスが流れていく。その時間軸の違いも感じていました。
当時、NHN JAPANはLINEの事業も担っていたのですが、業務拡大に伴い分社化することになったのです。その際に誘っていただき、LINEに転職することになったのです。
設計者の業務時間の48%が探し物に使われている
──建築業界とIT業界では、ムードも含めてかなり印象が違ったのではないですか。
そうですね。全く違いました。何か壁に直面しても、「とりあえず、こういう形を試してみようよ」という軽やかさがありました。
ブランディングマネージャーとしてブランディングに携わる部署に在籍し、空間デザインなどを担当していました。業務は非常に刺激的だったのですが、会社の規模が大きくなる中で、「自分の役目は果たせたかな」と感じ、建築家の谷尻誠とtectureを創業しました。
──なぜ、tectureを創業しようと考えたのでしょうか。
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