「子育てエコホーム支援事業」に補正予算2100億円
長期優良住宅に100万円を補助、普及拡大のスピードアップ
11月2日に閣議決定した「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を受けて、国土交通省は11月10日、総額2兆682億円にのぼる令和5年度補正予算案を公表した。住宅関連では、令和4年度に実施した「こどもエコすまい支援事業」に続く住宅取得支援策に2100億円を要求。長期優良住宅の新築住宅取得に戸当たり100万円を補助し普及のスピードアップを図る。
「エネルギーコスト上昇に対する経済社会の耐性の強化」の一環として「子育てエコホーム支援事業」を実施する。エネルギー価格など物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯などによる省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図るため、子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修などに対して支援を実施する。省エネ性能の高い住宅を購入する、18歳未満の子どもがいる世帯や、夫婦のいずれかが39歳以下の世帯が主な対象となる。
「こどもエコすまい支援事業」は、令和4年度の補正予算で事業実施が決定され、3月31日から申請受付を開始。新築住宅はZEHを対象に戸当たり100万円を、リフォームは住宅の省エネ改修のほか子育て対応改修やバリアフリー改修などを対象に工事内容に応じて上限30万円(加算により最大60万円)を補助した。当初予算額1500億円でスタートしたが、6月中旬時点での予算消化率が50%を超え7月28日に約209億円を増額。9月29日時点で100%に達した。対して「子育てエコホーム支援事業」では、新築住宅の取得支援の財源として公共事業関係費1700億円、リフォーム支援の財源として非公共事業費400億円を要求した。
今回の改正の大きなポイントは、新築住宅の取得支援について戸当たりの補助額を長期優良住宅100万円、ZEH80万円と段階を設けたことだ。「『こどもエコすまい支援事業』によりZEHの裾野は拡大した。ZEHの普及を加速させつつ、さらに長期優良住宅も普及拡大していきたい」(住宅局住宅生産課)考えだ。
住宅のリフォームについては、住宅の開口部・壁などに対する一定の断熱改修やエコ住宅設備の設置などの省エネリフォームを行う場合に工事内容に応じた定額を支援、さらに、これらの住宅の省エネ改修を行った上で、住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事などの工事も対象となる。子育て世帯・若者夫婦世帯は、リフォーム工事内容に応じて上限30万円/戸、長期優良リフォームを行う場合は上限45万円/戸を補助。その他の世帯は、それぞれ上限20万円/戸、上限30万円/戸となる。さらに子育て世帯・若者夫婦世帯が既存住宅購入を伴いリフォーム工事を行う場合上限60万円/戸を支援する。
窓改修などの支援も継続
3省連携でのリフォーム補助も
そのほか、令和5年度補正予算として、環境省は、〈断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業〉に1350億円を要求。高断熱窓(熱貫流率Uw1・9以下等、建材トップランナー制度2030年目標水準値を超えるもの等、一定の基準を満たすもの)への断熱改修工事に対して支援し、工事内容に応じて定額を補助。補助率1/2相当など、1戸あたり最大200万円とする。経済産業省は、〈高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金〉として580億円を要求。一定の基準を満たした高効率給湯器を導入する場合、機器・性能ごとに設けられた定額を支援する。また、国土交通省、経済産業省及び環境省は、「住宅省エネ2023キャンペーン」に引き続き、3省がそれぞれ取り組む住宅の省エネリフォームなどを支援する補助制度を、ワンストップで利用可能とする。
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