2023.11.17

日本衛生センター、ソリッドリメイン工法の地位確立目指す

住宅リフォームの際の基礎補強の需要に向け、信頼性の周知へ尽力

リフォーム市場の活発化に伴い、住宅の基礎補強工法の需要が高まるなか、短い施工期間で補修・補強を行える「ソリッドリメイン」工法を展開、社会的信頼の確立を目指す。

日本衛生センター(東京都国立市、岩川徹代表取締役会長)が展開、施工を行っている「ソリッドリメイン」工法は、アラミド繊維シートをエポキシ樹脂でコンクリート表面に張り付ける基礎補修・補強工法。90年代後半から土木工事において、炭素繊維・アラミド繊維などの繊維シートに樹脂を含浸したものを柱に重ねて巻き付ける連続繊維シート補強工法が注目されるようになった。これを住宅の基礎補強に応用したものが「ソリッドリメイン」だ。

建築後20~30年くらい経った住宅の基礎は様々な要因からクラックが生じていることが多い。これを修繕せずに放置すると、クラックから浸入した雨水や空気により鉄筋が錆び、コンクリート爆裂につながる。従来、クラックの補修には、コンクリートの増し打ちなどが行われてきたが、繊維シートの貼り付けであれば、これらの工法と比べて短期間、低コストで補修が行えるという。例えば、コンクリートの増し打ちで基礎の全周工事を行う場合、一般的に養生期間を含め1か月程度かかる。一方で、「ソリッドリメイン」は、全周での補修であっても、1~3日で完了することができる。

リフォーム市場の活発化で基礎補強が注目
データに基づく貼り付け幅で施工

脱炭素などを背景に基礎を残したリフォーム工事の需要が高まっている。同社は、補強工事以外にも断熱工事などのリフォーム工事を請け負っているが、全体の受注の内10%以上が基礎補強工事だ。都内などでは、建築基準法の改正で建て替えでの住宅建築が難しい立地もあり、そうした面でも基礎を残した改修が増えており「年間工事の半数以上が基礎補強の営業所もある」(経営企画部・岩田耕一課長)という。

強化繊維を樹脂で被覆することで構造物の強度を向上することができる

「ソリッドリメイン」の特徴として、データに基づく貼り付け幅と、独自開発したエポキシ樹脂の使用による補強力の向上が挙げられる。住宅基礎の繊維シート補強については、貼り付け幅などに基準がなく、各社でそれぞれ対応している。同社は、どのくらいの幅であれば必要な強度を確保することができるかを公的機関で分析し、その結果をもとに、上端30㎝以上での貼り付けを行っている。エポキシ樹脂については、外部委託していたものを材料高騰の流れを受けて内製化した。自社生産にあたって、コンクリート接着力と圧縮強度を向上、配合粘度を下げたことでより充填しやすくなった。補強効果は、施工前と施工後で30~40%の向上が期待できる。

岩田課長は「施工性や耐久性など改良を重ねて、よりよい製品を模索していきたい。現在、住宅の基礎補強には、明確な基準や指針がないが、社会的に信頼してもらえる商品をつくっていきたい」と、耐震改修工法の認定などを行う国土交通省指定の耐震改修支援センターとコンタクトを取り、同工法を顧客に対して価値の分かりやすいものにしていきたいとした。