2023.11.16

(一社)住宅技術協議会、非住宅建築物向けのかし保証制度

地域住宅事業者のニーズに応え安心を提供

地域の住宅事業者で非住宅分野への事業多角化が広がるなか、非住宅建築物向けのかし保証制度をリリースした。反響は大きく、新たな顧客接点にもつながっている。

住宅瑕疵担保責任保険法人であるハウスジーメン(MSJグループ)のグループ会社である(一社)住宅技術協議会が非住宅建築物に利用できるかし保証制度をリリースした。

非住宅建築物 かし保証制度」は、住宅の用途を含まない非住宅建築物を供給する住宅事業者や建設会社向けのかし保証制度。この制度を活用することで、発注者に対して建築物の基本的な構造耐力・防水性能に関する10年間のかし保証を提供することができる。

対象となる建築物は、用途に住宅を含まない非住宅建築物で、規模や構造を問わずに利用できることが大きな特徴だ。保証の対象は建物の基本構造部分の基本的な構造耐力性能と防水性能で、保証期間は建物の引き渡しから10年間。

建設会社などから利用申込みを受けると、保証制度の管理者として(一社)住宅技術協議会が建設中3回の検査を行い、適切に建設されていることを確認する。建物の完成後、建設会社から完成引き渡しの通知を受け「制度加入証明書」、「住宅技術協議会所定の保証書」を発行して建設会社と建物を損害保険に付与する。

万が一、保証制度の対象となる事故が発生し、建設会社が保証約定に基づいて保証責任を履行した場合、(一社)住宅技術協議会を通じて損害保険から保険金が支払われる仕組みだ。

ゼネコンなどから大型案件の引き合いも

非住宅建築物は住宅瑕疵担保履行法による「住宅かし保険」などの仕組みがなく、建設会社は大きなリスクを抱えていた。実際、ハウスジーメンの顧客からも「店舗や事務所を対象とした保険はないのか」という声が寄せられていたという。

こうしたニーズの高まりを受け、ハウスジーメンは今年に入り検討を開始、今夏に(一社)住宅技術協議会から非住宅建築物向けの瑕疵保証制度をリリースした。念頭に置いていたのは、同社の住宅かし保険を活用する住宅事業者が手掛ける木造非住宅建築物であった。非住宅建築向けのかし保証制度は、顧客のニーズに応え、付加価値を高めていくことが大きな目的であった。

蓋を開けてみれば、想定した戸建住宅ビルダーはもちろん、地域のゼネコンなどからの引き合いも多く、案件もホテルや事務所ビルなど大型物件も含まれ、幅広いユーザーがさまざまな物件で活用している。「これまで出会うことがなかった新たな接点が生まれている」(ハウスジーメン 道下佳紀代表取締役社長)と、手応えは十分だ。

「着工件数で見れば非住宅分野が非常に大きいというわけではないが、この事業から新築住宅への展開など新たな展開へ結び付けていきたい」(道下社長)と、まず初年度50件程度の導入を目指している。