積水化学工業/リノベる、既存マンションのZEH水準リノベを推進
第1号案件が完成 買取再販、個人、法人向けに展開
積水化学工業 住宅カンパニーとリノベるは、協業第一弾の取り組みとして、積水化学工業の技術力とリノベるの提案力を生かしたZEH水準リノベーションの提供を開始した。
既存住宅においては全住宅ストック約5000万戸の9割にあたる約4500万戸が現行の省エネ基準を満たさず、住宅ストックの省エネ化・断熱化が求められている。住宅ストックの省エネ化・断熱化には、建て替えとリノベーションという選択肢があるが、リノベーションは建て替えに比べCO2排出量を削減できることが確認されており、脱炭素社会実現に向けたソリューションの一つと言える。さらに、快適性の向上や光熱費の削減、健康へのよい影響が報告されるなど、多くのメリットが期待されている。しかし、普及の課題として、費用対効果のわかりにくさや、設計・施工・温熱計算などのノウハウ不足、各種認証取得や補助金などの手続きの煩雑さなどが挙げられている。
今回の両社の協業では、主に断熱改修の設計、湿気、熱を遮断する断熱特許工法「マルリノ工法」、温熱計算、BELLS(建築物省エネルギー性能表示制度)申請などについて積水化学工業が培ってきた知見・ノウハウを活用。設計、施工、啓発などについてリノベるが持つデザインなどの知見・ノウハウを生かし、様々な課題に対してワンストップで対応できる体制を整備した。既存マンションを対象にZEH水準リノベーションの設計・施工、温熱計算、BELS申請、費用対効果の見える化をワンストップで提供する。特に「マルリノ工法」の持つアドバンテージは大きい。新築マンションについてはウレタン吹付けによるの断熱施工が一般的だが、200Vの電源の確保が必須となるため、1戸単位でリノベーションを行う際にはハードルが高くなる。一方、「マルリノ工法」では、最高クラスの性能を持つボード系断熱材を使用することで断熱性を向上させ、コンクリート壁面の不陸に密着し壁体内結露の発生リスクも抑制する。同じZEH水準の断熱性能をウレタン吹付けで実現しようとすれば、断熱材の厚みが厚くなり居住空間が狭くなる懸念がある。ボード系断熱材はカットも容易で専門職でなくても施工できる。
両社は、「マルリノ工法」によるZEHリノベを推進し、両社それぞれが買い取った区分マンションの買取再販(BtoC)の拡大を目指す。2023年10月、リノベるの買取再販事業「リノベる。U」において、第一号案件である神奈川県川崎市宮前区鷺沼の区分所有マンションが竣工。BELS認証「ZEH Oriented」を取得したリノベーション済みマンションとして販売開始した。併せて、個人向けリノベーション請負事業(BtoC)、法人所有の区分マンション+法人所有の一棟マンションのリノベーション請負事業(BtoBtoC)の3つのチャネルで展開していく。
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