外国人技能実習制度を廃止へ
人材確保と育成を図るための新制度へ移行
外国人技能実習制度の見直しを検討する政府の有識者会議は、最終報告書の提言部分のたたき台を公表した。同制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設することを提言。2023年秋に最終報告をまとめ、2024年以降正式に変更する。
国土交通省がまとめた2021年の調査データによると、建設分野で活躍する外国人の数は約11万人で、全産業の約6・4%を占める。うち技能実習生は約7万人となっている。一方、出入国在留管理庁によると2022年時点で45万5000人が技能実習生として日本で働いているが、賃金などの不払いなど、実習実施者側の不適正な取扱いなどが主な要因となり、約9000人が失踪。現行の技能実習制度は人材育成を通じた国際貢献を制度目的とし、労働力の需給調整の手段としてはならないという基本理念を掲げているにもかかわらず、技能実習生が国内の企業などの労働力として貢献しており、制度目的と運用実態のかい離が指摘されている。こうした実態を踏まえ、有識者会議では、現行の技能実習制度を発展的に解消し、我が国の人手不足分野における人材確保と人材育成を目的とする「新たな制度」を創設することを提言する。新たな制度では、未熟練労働者として受け入れた外国人を3年間で一定の知識・技能が必要な「特定技能1号」の水準に育成する方針を掲げた。未熟練労働者として受け入れる対象を建設や農業など特定技能と同じ分野に限定した上で、外国人が業務の中で習得すべき主な技能を定め、試験などで評価する仕組みを導入する。技能や日本語能力の試験に合格すれば、最長5年滞在できる「1号」への移行を可能とした。不合格でも再受験のため最長1年の在留継続を認める。
新たな制度では転籍の条件も見直し、現行の技能実習制度において認められている「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大かつ明確化する。外国人の労働者としての権利性をより高める観点から、一定の要件の下での本人の意向による転籍も認める。
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