三井不動産グループ、脱炭素に向けた取り組みを加速
サプライチェーンのGHG算出を義務化、生活者の行動変容も
「2030年度までにGHG排出量40%削減」に向け、取り組みを加速させている。新たにサプライチェーン全体にGHG排出量算定を義務化したほか、入居者を対象に省エネへの行動変容を促すスキームを構築し全分譲物件に導入する。
三井不動産が、グループの脱炭素に向けた新たな取り組みを発表した。
同グループが、2021年11月にまとめた「脱炭素社会実現に向けたグループ行動計画」では、グループ全体の温室効果ガス(GHG)排出量を、「2030年度までに40%削減(19年度比)」、「2050年度までにネットゼロ」を目標に掲げる。
同グループのGHG排出量(22年度)は550万3000t‐CO2であるが、このうち建設時排出が65%を占めるなど、90%がSCOPE3に該当する他者排出分。これをどのように減らしていくかが大きな課題であり、「サプライチェーン全体を巻き込む排出削減や、新たな排出削減手法の挑戦、提案に取り組み、行動変容へとつなげていくことが重要」(植田俊代表取締役社長)となる。
22年3月、三井不動産は日建設計と「建設時GHG排出算出量マニュアル」を策定、同社の発注物件で同マニュアルの試行を進めると発表した。同マニュアルは、従来の「排出量=総工事金額×排出原単位(㎏/円)」ではなく、工種や資材別に排出量を細かく算出することが可能で、GHG排出の見える化につながり、脱炭素に向けた適切な指標づくりを可能とするものだ。
このマニュアルを幅広く業界内で共有すべく、(一社)不動産協会内に検討委員会を組成、有識者や関係省庁なども含めて検討を行い、同協会のマニュアルとして整備、今年6月に公開した。「まちづくりに携わる幅広い企業に活用してほしい」(山本有サステナビリティ推進部長)と、使いやすさに配慮したものとなっている。その活用の第一歩として、三井不動産グループのサプライチェーンの企業に対し、23年10月以降に着工するすべての物件に同マニュアルを活用した算出を義務化した。「見える化しただけではGHG排出量は減らないが、サプライチェーンに働きかけていくことが変容を促す一つのきっかけとなる」(広川義浩専務執行役員)という狙いだ。
特別感あるインセンティブで
生活者の行動変容を促す
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