着実に進む空き家・空き地の活用
譲渡所得控除の利用件数拡大、自治体の取り組みも加速
空き家・空き地の流動化を促す譲渡所得の特別控除の活用が進んでいる。自治体による除却や修繕などの取り組みも加速しており、空き家・空き地の活用が進みつつある。
全国的に大きな課題となっている空き家・空き地問題に対して、国のさまざまな取り組みが着実に進んでいる。
国土交通省が「低未利用土地の利活用促進に向けた長期譲渡所得の100万円控除制度」について利用状況及び適用事例をまとめた。
「低未利用土地の利活用促進に向けた長期譲渡所得100万円控除制度」は、2020年度の税制改正で創設されたもので同年7月から開始、23年度税制改正で制度対象を拡充している。一定の要件を満たす譲渡価格が500万円以下または800万円以下の低未利用土地等を譲渡した場合、長期譲渡所得から100万円を控除するものだ。
22年1~12月の自治体が低未利用土地等の譲渡に対して確認書を交付した件数は4842件。すべての県で交付実績があり、北海道331件、茨城県302件の2県が群を抜いて多く、以下、群馬県と長野県が197件、愛知県190件と続いている。最も少ないのは沖縄県の7件で、徳島県10件や長崎県20件、奈良県21件なども交付が少ない。
国交省の調査によると、譲渡前の状態は空き地が55%、空き家が28%と空き家・空き地で8割を超える。また、譲渡後の利用用途は住宅が62%と過半数を占める。つまり、譲渡所得の100万円控除により多くの空き家・空き地が動き、住宅として利用されるようになったということだ。
同制度とは別に「空き家に係る譲渡所得3000万円特別控除の特例」がある。同特例は、相続または遺贈によって空き家及びその敷地を取得した相続人等が3年以内に売却した場合、一定の適用要件を満たすことで、その譲渡所得金額から最大3000万円を控除できるもの。国交省の「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況」によると、同控除に係る確認書の交付実績は年々増加しており、22年度は1万2956件と、21年度の1万1976件から約1000件の増加となった。
23年3月31日時点の調査によると、市区町村による「空家法の措置により除去や修繕等がなされた特定空家等」は2万2148件、それ以外の取り組みで除去や修繕等がなされた管理不全の空き家は14万6050件と、計16万8198件の空き家が除去・修繕等の対策がなされた。全国的に大きな地域の課題となっている空き家対策が着実に進みつつある。
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