[旭トステム外装]新しい外壁/内壁用建築素材「SHiZEN」に注力

強みを生かし、脱・定番のデザイン戦略へ

旭トステム外装は、厳しい住宅市場環境を踏まえ窯業系の商品を見直し、フルラインアップではなく、自社の強みを生かせる商品に限定し展開。特に、モチーフを持たないことをコンセプトにした「SHiZEN」に注力する。

旭トステム外装は、住宅資材の価格高騰など厳しい市場の中で、窯業系サイディングのラインアップを見直した。「自然素材をモチーフにしたデザインが飽和状態で他社との差別化が難しくなり、製造工場をひとつしか持たない当社は価格競争も厳しい。主戦場を変える必要があった」(商品開発部販売促進グループ 平松功実リーダー)と、自然素材をモチーフにした「AT‐WALL」のバリエーションを絞り、同社の強みを生かせる商品の強化へとシフトチェンジを図った。

その中で、2020年に発売したのがモチーフを持たず、シンプルだけどノーマルじゃないをコンセプトにした新たな商品ブランド「SHiZEN」だ。「SHiZEN」は、建築家やデザイン系ビルダーなどデザイン感度の高い層に向けたブランドで、窯業系サイディングのフラットな質感をそのままに、塗装や仕上げでアクセントをつけている。“外壁材”ではなく外壁と内壁に兼用できる新たな建築素材として位置付け、飾り気のないシンプルなデザインが特徴だ。かねてから積み上げてきたシーリングレスの技術を生かし、無駄のない洗練された印象を与えることができ、コーナー部分はガルバリウム鋼板製の専用部材を用いることで、すっきりと仕上げられるようにするなど細部までこだわった。また、設計事務所などのトレンドセッターをターゲットに置くことで、デザインの流行として普及した際の商品採用の広がりも狙っている。

今年4月には、加飾をしない自然な仕上がりの「SOZi」をラインアップに追加。モルタルや塗り壁のような風合いを持ちつつ、高耐候フッ素コーティングやセルフクリーニング機能で長期にわたって美しい外観を保持できる。さらに10月には、塗装で絶妙な色ムラを表現した「OBORO」に新色「オボロミドルグレー」を追加。人気カラー「オボログレー」と「オボロチャコール」の間の色で、全面使いとしてもアクセント使いとしても採用しやすいカラーとなっている。

新たな商品ブランドとして強化する「SHiZEN」。フラットな質感で、外壁と内壁に兼用できる新たな建築素材として位置づける
4月に「SHiZEN」ブランドから発売した「SOZi」。モルタルや塗り壁のような風合いを持ちつつ、長期に渡って美しい外観を保持できる

金属はオールフッ素化を推進
樹脂は沿岸地域での採用拡大を望む

同社は、窯業系サイディングに加え、金属サイディング、樹脂サイディングも展開していることが特長だ。金属サイディングでは、ポリエステル商品の拡充と並行して、フッ素鋼板商品やフッ素コーティング商品の強化というオールフッ素化を推進している。9月発売の新商品「トロワSF/F」もそのひとつだ。デザイン面では、金属サイディングのリフォーム需要が高いことから、石柄や木目柄など、既存の建物外観にも合わせやすいデザインを揃えた商品となっている。

また、国内でも同社含め2社しか取り扱っていないのが樹脂サイディング。リフォーム市場への参入材料として、カバー工法でありながら金属サイディングより手ごろ感のある樹脂サイディングを投入した。特に、金属サイディングでは塩害などが懸念される沿岸地域での採用拡大を目指す。ただ、扱える工事店が少ないことが課題であり、まずは外壁材全体のなかでの樹脂サイディングの存在感を高めていきたいとした。

旭トステム外装 サービスデスク
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