2023.9.13

国土形成計画で“人と国土の関係性再構築”を打ち出す

若者、女性、関係人口など多様な人の居場所づくりを

長期的な国土づくりの方向性を示す「国土形成計画」で、地域力を高めるため「人と国土の関係性の再構築」を打ち出した。地域を支えるさまざまな人々の居場所や役割づくりを求めている。

第三次国土形成計画(全国計画)」が閣議決定された。同計画は、総合的かつ長期的な国土づくりの方向性を定めるもので、「新時代に地域力をつなぐ国土」を目指す姿として掲げ、その実現に向けた国土構造の基本構想として「シームレスな拠点連結型国土」の構築を図るとした。

①民の力を最大限に発揮する官民連携、②デジタルの徹底活用、③生活者・利用者の利便の最適化、④縦割りの打破(分野の垣根を越える横串の発想)という4つの戦略的視点で取り組む。

非常に広範囲にさまざまな視点から新たな国土形成の取り組みを網羅するものとなっているが、「横断的な重点テーマ」の一つとして「地域を支える人材の確保・育成」を論じている。

多様性に富む包摂社会の実現に向け、地域づくりの多様な主体の参加と連携を促進する取り組みを進めるとともに、民間の力を最大限に生かした新しい公共の領域拡大を図り、地域力を高める必要があると、「人と国土の関係性の再構築」を謳う。
若者、女性、高齢者、障害者、外国人など多様な人々が地域社会のなかで居場所を持ち、暮らし、働き、活動することができる地域づくりを行う必要があるとする。

国土形成計画では、この「多様な人々」と「地域」とのさまざま関係性を示している。例えば、「地域づくりに求められる人材」。地域のボトムアップから地域づくりを広げるため、地方公共団体、企業、大学、NPO、一般住民を含めたさまざまな主体の参加が不可欠とし、民間主体の主体的な地域づくりへの参加を促進する必要を説く。また、同時に地域づくりのノウハウを持つ人材の取り込みも重要課題とし、地域デザインを担う人材、デジタル人材、コーディネーターやファシリテーターなどさまざまな役割を担う人材の発掘・育成を図るとした。

一方で、関係人口の重要性の高まりも指摘する。「定住人口」でも「交流人口」でもない、特定の地域に継続的に多様な形で関わる「関係人口」を、「地域を支える人材の切り札となる大きな役割が期待される」とした。定住を前提とせず、オンライン交流や二地域居住等多様な関わり方が可能なことから多彩な人材がなりうることができ、地域に新たな価値を生み出すことも可能だ。若者を中心に地方に関する関心が高まるなか、「地域との継続的な関係巣性を有する関係人口の一層の拡大につなげていく必要がある」としている。

また、「女性」も重要な位置づけだ。地方から東京圏への人口流出は男性よりも女性に多く、女性の流出を抑制するためにも女性が活躍できる場を地方に作り出す必要がある。

そのため、多様な価値観を持つ若者や女性にとって魅力のある雇用の創出や生活環境の充実を図ることが重要と指摘し、「とりわけ、地方でも女性の就職の選択肢が多い環境の整備を図る必要がある」と、地域活性化の取り組みにおいて女性の働く場の創出という視点が不可欠と指摘している。