局所最適ではなく全体の流れの中で生産性向上の最適解を考えていく
東京大学大学院 工学系研究科建築学専攻 権藤智之 准教授
帝国データバンクの調べによると、2023年上半期の「人材不足倒産」は110件で、過去最多のペースで増加しているという。なかでも建設業は前年度上半期の15件から45件にまで増加しており、業種別で最も多くの「人材不足倒産」が発生している。こうした中で、住宅建築の生産性や効率性を向上していくことが、これまで以上に重要な課題になってきている。東京大学大学院の権藤智之准教授に、住宅建築の生産性向上に向けた論点を聞いた。
──ここにきて工務店などの倒産が目立ってきていますが。
私が学生の頃、元請として住宅を新築している工務店が5万社あると言われていましたが、今は1万社を切るくらいまでに減少しているのではないでしょうか。住宅市場の縮小に伴い、人材不足などの問題もあり会社をたたんだというケースも増えているようです。
一方で大工の数は現時点で約30万人と言われていますが、その半分以上は50代以上です。今後、大工の高齢化問題がさらに深刻化していくでしょう。工務店の現場監督も、工業高校を卒業してゼネコンに行くケースが増えているので、住宅業界では慢性的に不足しています。
──人手不足の中で、生産性の向上が求められますが。
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