2023.7.11

(一社)日本ツーバイフォー建築協会、パネル工法で生産・施工システムをさらに進化

法改正に対応し「建築物の木造化」を推進

2023年度総会を開催。2×4工法の利点である合理的な生産・施工システムをさらに進化させるためパネル工法の開発を進める。また、法改正に的確に対応し「建築物の木造化」を推進する。

22年度のツーバイフォー住宅の新設住宅着工戸数は前年度比4.8%の減少で9万2000戸、シェアも減少し10.7%となった。利用関係別に見ると、貸家と分譲住宅のシェアが低下したが、持家は11.7%となりシェアが上昇、これまでで最も高いシェアとなった。池田明会長(三井ホーム社長)は「2×4の性能、品質について高い信頼を得られた結果であると考えている」と述べた。

池田会長は、「施設系2×4建築は年々、増加傾向にある。法改正に対応して、会員企業が中大規模木造に取り組みやすい環境整備を進めていきたい」と述べた

また、同協会会員への自主調査によると、「住宅用途以外の施設系2×4建築は、性能面のメリットに加え、工期面、コスト面のメリット、さらに環境にやさしい『木の建築』への評価の高まりにより年々、増加傾向にある」(池田会長)。19年度256件、20年度283件、21年度310件と推移する。老人ホーム、デイサービス施設、グループホームなどの福祉施設や、寄宿舎・寮、サービス付き高齢者向け住宅などの居住系施設、保育園、幼稚園、学校といった保育・教育施設、その他、事務所、コンビニエンスストア、店舗、宿泊施設、倉庫、工場など多岐にわたる。これだけ2×4工法がさまざまな建築物に広がっている理由は、近年の耐火構造物としての認定取得の取り組みによるもので、同協会発行の枠組壁工法耐火構造大臣認定(写し)は、累積4296件となった。内訳を見ると最も多いのが3階建てで81%、次いで2階建て15%、4階建て3%、平屋1%、5階建て0.5%、6階建て0.07%と続く。

22年度は、2×4工法の利点である合理的な生産・施工システムをさらに進化させるため、壁・床・屋根パネルの設計・生産・施行に合理化および標準化に向けた各パネルの仕様を決定。また、省エネ化、大規模建築の木造化推進のため、構造・防火関係規定などの法改正に対応するため、分科会で技術基準の整備などを実施した。23年度は、改正建築物省エネ法などへの対応として、「省エネ基準等適合義務化」、「建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し」、「中大規模建築物の木造化を促進する防火規制の合理化」、「構造計算に係わる告示改正」に関して必要な対策を講じる。また、生産・施工システムの合理化のため引き続き「ツーバイフォーパネル工法(仮称)」の開発を進める。

なお、住宅価格高騰の影響などにより、持家の不振が続く状況について、池田会長は「三井ホームに限れば、全体の販売は前年度比微減で、特に戸建住宅が7%減と厳しい状況だった。4000万円台以上の住宅販売は好調だが、ボリュームゾーンである2000万円~3000万円台の住宅は、資材価格高騰、土地の価格も値上が影響して大きく落とした」と述べた。また蓮井美津夫副会長(イワクラホーム社長、北海道札幌市)は「当社の住宅の販売は前年比で17%~18%減となった。北海道全体で見ても2×4に限らず、戸建は10数%落ち込んでいる事業者が多い。展示場の来場者数も2、3割落ちている。市場には、1年分とも言われる大量の建売住宅の在庫が残っており、今年中には解消されないと見ている。エリア別に見ても総じて厳しい状況が続いている」と述べた。