日本集成材工業協同組合、集成材の品質確保、非住宅分野への提案など需要創出も
創立60周年で記念事業も開催
日本集成材工業協同組合は第52回通常総会を開催。今年度は非住宅分野に向け大断面集成材の提案を積極的に提案するなど、需要の創出を図る。
日本集成材工業協同組合(中島浩一郎理事長)は5月19日、東京都内で総会を開催した。
2022年度は、集成材製品の品質の確保および向上の取り組みとして、構造用集成材製品を買い取り、広島県総合技術研究所林業センターにおいて強度調査を行った。
また、集成材製品の需要拡大のための普及・啓発を目的に2021年度に作成したパンフレット「集成材のはなし」の改訂作業を実施し、2023年度内の発行を予定している。また、組合員の協力を得て「集成材カレンダー」を作成、配布なども行った。
2023年度事業計画では、住宅着工が減少しているなか、既存ユーザーの信頼を損なうことなく、また、新たなユーザー獲得につながるように品質確保に努める考え。
一方、非住宅分野における木造利用については、大断面集成材や耐火木質ハイブリッド集成材の利用を積極的に提案していくことや、造作用集成材についても、厳しいJASの基準を満たす製品であることをアピールするなどの工夫をしながら、住宅から中大規模木造建築物まで幅広く提案を行っていくなど需要の創出を図る予定だ。
具体的な事業計画としては、集成材製品の品質の向上を目的としたJAS格付けや流通集成材製品の買い上げによる自主的な強度調査などが盛り込まれた。また、改正集成材JASへの対応や外国人技能実習制度創設への参画、BIMに関する外部事業などへの参加や集成材製造に係る二酸化炭素排出量の把握などに取り組んでいく。
同組合は、1963年に会員の技術交流、集成材の品質向上、規格の作成、集成材製品の需要の拡大などを目的に19社による「日本集成材工業会」としてスタート、1971年に同工業会を発展的に解消し組合を設立した。現在、組合員数は70社、賛助会員6社で構成される(2023年5月1日現在)。
今年で創立60周年という大きな節目を迎えることを受け、中島浩一郎理事長は「前身の日本集成材工業会の設立から今年で60周年を迎える。ここまで平坦な道のりではなく、諸先輩方や見守っていただいた関係各所の皆様に感謝を申し上げたい」と述べた。
また、来賓として出席した齋藤健一林野庁木材産業課長は「急激な円安や、エネルギー価格や接着剤の高騰など、見通しを立てづらい状況が続いている。一方で国産材に対する期待は高まっており、林野庁としても再造林の確保など持続性に配慮しつつ、国産材の安定供給と事業拡大に関する施策を講じていく」と述べた。
総会終了後は、岡山大学・中村昇特任教授による記念講演、創立60周年記念表彰式および祝賀会が開催された。
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