2023.6.23

(一社)日本木造住宅産業協会、木優住宅が50万戸超えに

木材利用促進、脱炭素に向けた取り組みを加速

(一社)日本木造住宅産業協会が展開する木優住宅の登録実績が50万戸を超えた。さらなる普及拡大で住宅の品質向上を進めるとともに、木材利用促進などに取り組む。

(一社)日本木造住宅産業協会が定時総会を開催、令和5年度の事業計画をまとめた。

令和5年度は、地方公共団体との連携を強化し、会員活動支援のためのプラットフォーム整備を進めるとともに、引き続き木材利用促進協定・災害協定の締結、木造応急仮設住宅供給体制の整備を図るなど地域貢献活動を強化する。また、脱炭素・循環型社会の実現に向け、環境に優しい木材利用や木造建築の推進を図る。

具体的な取り組みとしては、ストック分野における「良質な住宅ストック形成とリフォームの推進」において、「資産価値のある高耐久住宅」の研究開発を展開し、既存住宅の流通促進とリフォーム推進も含めストック社会を支える住宅の高耐久性の向上を推進する。

「木造住宅・建築物の普及促進」については、木造による中大規模建築物、耐火・準耐火建築物、省令準耐火構造の住宅普及に向け、高強度耐力壁の検討、耐火構造・準耐火・省令準耐火構造の開発を進める。一方、建築物等の木材利用促進に向けて非住宅木造建築物の需要拡大に取り組む。

「良質な資材の普及と木造化・木質化」の推進では、3年に一度行っている「国産材利用実態調査」のデータを活用して「木造戸建住宅の炭素貯蔵量表示」を検討、木の良さを訴求するツールを作成する。また、「資産価値のある高耐久住宅」の普及に向けて、建築物の外皮を構成する資材及び関連サービスについて調査、研究を進める。

木優住宅の普及拡大に注力

令和5年度事業の一つの柱となっているのが「木優住宅等の推進」だ。木優住宅は、同協会経由で住宅瑕疵担保責任保険を申し込むもの。昭和63年の高耐久木造住宅から団体認定を受けており、保険料の割引や自主検査の実施が可能となる。

その登録実績戸数は年々増加を続け、令和4年度は2万6026戸と過去最高となった。昭和63年からの累計では50万8624戸と50万戸の大台に乗った。

また、令和4年度の自主検査講習「木造住宅検査員講習会」の参加者は新規42人、更新129人であり、年度末の登録者総数は559人となった。

協会では、この木優住宅の普及拡大、木造住宅検査員制度をさらに推進し、住宅の品質向上を図る考えだ。

今年度は2年に一度の役員改選期にあたり、定時総会後の理事会において、市川晃会長(住友林業 代表取締役会長)、中内晃次郎副会長(ポラテック 代表取締役)、脇山章治副会長(北洋建設 取締役最高顧問)、億田正則副会長(大建工業 代表取締役 社長執行役員)、越海興一専務理事が続投となった。

脱炭素へ向け木の貢献度を見える化
市川晃会長

今年の第一次四半期のGDPが上昇に転じ、インバウンドも増え街に出れば多くの人と出会う。経済活動を何とかしていこうという動きをひしひしと感じている。そんななか内需の柱が住宅産業であり、我々が果たすべき役割は非常に重要なものがある。
今の大きなテーマが脱炭素であり、暮らしのなかで出るCO2をどのように抑えるか、色々な知恵の元に動いている。一方で、構造に係るエンボディドカーボンについては、まだまだ注目されていない部分がある。脱炭素に向けた木の貢献度を、感覚的なものでなく見える形で表していけないか業界として考えている。その合わせ技で日本の木造住宅をしっかりと支えていきたい。