KSK「住宅マネージャー」情報を一元管理し経営改善へつなげる住宅事業者の情報プラットフォーム
「住宅マネージャー」は、注文や分譲などの業態を問わず、あらゆる業務の情報を一元管理できる基幹システム。カスタマイズ性の高さも大きな魅力で、インボイス制度に対しても事業者の細かなニーズに応える提案を進めている。
KSKは、インボイス制度への対応に時間をかけて取り組んできた。国税庁からの通達を踏まえ、1年半以上も前から社内で法令の内容の深い理解を進め、どのような対応をしていかなければいけないか、その方向性をまとめ、基幹システム「住宅マネージャー」のベースとなるシステム対応を終わらせていた。ただ、バージョンアップ版のリリースはそれぞれの住宅事業者の方向性がある程度まとまった今年の春である。
「住宅マネージャー」は、比較的規模の大きな住宅事業者が採用していることもあり、カスタマイズして活用しているケースが多い。インボイス制度への対応も単に法令に対応して終わりではなく、例えば、複数棟をまとめて一括発注するなど、法令対応をベースにユーザーニーズを踏まえてさまざまなカスタマイズを行っている。
こうした対応は、一社一社聞き取りを行い、個社ごとに仕様を決めていく。注文住宅事業か分譲住宅事業か、ユーザーが展開する事業によって発注や請求の仕方が異なる。また、制度の詳細部についての確認作業も必要だった。例えば、これまで一括請求を行っていた事業者については、インボイス制度でそれが認められるのかを税理士や国税庁に確認を行ったりもした。こうした個別のニーズに対応し、適切な提案を行うことができるのがKSKの強みであり、「住宅マネージャー」の特徴といえる。
一方で、パッケージ版のリリースとともに新規ユーザーに対する案内を開始。インボイス制度の導入で請求に関わる手間が大幅に増えることから、これまでエクセルなどで対応してきた住宅事業者に対してデジタルツール導入の一つのきっかけになれば、という提案だ。
「パッケージシステムでも、支払・請求の対応などで力を入れて開発した。国税庁のWEBと紐づいており、定期的に協力業者の課税業者・免税業者の確認や登録番号を照合する。また、会計ソフトとの連動もスムーズであり、自信を持ってお勧めできる」(ビジネスソリューション事業部 住宅ソリューション営業グループ・山口靖営業部長)と提案に力を入れている。
他社連携を積極推進
アプリをはじめコンサルとも
「住宅マネージャー」は注文住宅、分譲住宅、リフォームなど、住宅事業者のあらゆる事業形態に一つのシステムで対応できることが大きな特長だ。また、あらゆる業務の情報を一元管理できることも大きなポイント。契約、発注、工程管理、原価管理、アフターサービスなど住宅一棟に関する情報を各部門が別々のシステムで管理するのではなく、「住宅マネージャー」上にすべて集約することができるのである。
特筆されるのは「ユーザー帳票」の管理ができること。ユーザー帳票とは事業者がこれまで運用してきたエクセル帳票と分析情報を「住宅マネージャー」を使って出力する方法で、迅速にデータを分析、課題を顕在化することができることから、事業者はその対策を取ることができる。
さまざまな特徴を持つ「住宅マネージャー」であるが、あくまで基幹システムであり、実際の業務においては、それぞれに特化した機能が求められる。同社では「現場管理アプリなど他社製品でよいものが多くある」ことから、こうしたアプリやシステムを開発する企業との連携を重視する。他システム連携は住宅事業者の要望を踏まえシステム同士の連携を進めてきたもの。「必要なデータを住宅マネージャーと連携できないか」という声に応えてきた。それぞれのシステムの連携が取れることで二重入力や打ち込みミスなど手間を削減しミスを減らすことができる。
一方、不動産売買・賃貸契約手続きの電子化が解禁され電子契約が広がりつつあるなか、電子契約管理システムとの連携も予定している。それぞれを独立して使うとなると、「住宅マネージャー」にログインして契約内容などを入力した後、あらためて電子契約システムに別途ログインし、同様の内容を入力しなければならないが、2つのシステムが連携することで電子契約を意識することなく作業を自動化できる。
KSKが連携を図るのはアプリやシステムだけではない。昨年、同社は住宅コンサルタントの清水英雄事務所と連携し、住宅事業者に向けた業務改革の提案を開始した。この連携により、「住宅マネージャー」を通じたDXによるシステム改革と、コンサルティングによる業務改革をパッケージとして提案できるようになった。
この連携の背景には「KSKはシステム提供者であり、住宅事業者の業務プロセスを抜本的に変える、経営のグランドデザインを大きく変えるには限界がある」との考えがある。同時に、せっかく導入する基幹システムをより有効に活用してもらいたいという思いもある。「住宅マネージャー」の導入に先行して清水英雄事務所が業務改善やDX推進のメリットなどを訴求、業務改善の取り組みを進めることで、システムの導入・運用をよりスムーズに進め、より効果的に活用することができる。単にツールの導入で終わる事なく企業がDXを推進するにあたり、何を目的とするかをヒアリングなどから明確にした上で目標を共有してDXを推進していく。
情報プラットフォームでメリットを最大化
同社は「住宅マネージャー」を「企業の情報プラットフォーム」と位置付けている。現場管理や顧客管理などさまざまなデジタルツールと連携し、KSK一社によるDX推進ではなく、プラットフォームとなることで住宅事業者のメリットを最大化しようという考えだ。
目指すのはDXによる住宅事業者の経営課題の解決であり、業務の改善である。そのために重要となるのが事業にかかわるすべての情報の一元化だ。
情報を一元管理し、蓄積・分析することでその事業者が抱える課題・問題を顕在化、その迅速な改善が可能になる。
「住宅マネージャー」による住宅事業のDX化は、省力化やペーパーレスにとどまらず、事業、さらには経営を新たな次元に引き上げることを目指しているのである。
KSK
TEL:042-378-1100
リンク先は各社のサイトです。内容・URLは掲載時のものであり、変更されている場合があります。
内容・URLは掲載時のものであり、変更されている場合があります。
-
マーベックス・アキレス “断熱等級6”の時代の真の差別化ポイントを解説
2024.11.21
-
YKK AP・パラマウント硝子工業・日本住環境・アキレス 断熱気密の施工をプロが解説
2024.11.21
-
JCA・デコス エバーフィールド・久原氏が石川の木造応急仮設住宅について講演
2024.11.12