2023.5.18

太陽エコブロックス、セメントゼロの舗装用ブロックを発売

高炉スラグ微粉末使用でCO₂排出量を削減

セメントの代わりに高炉スラグ微粉末を使用し、CO₂排出量を抑えた環境配慮型の舗装用ブロックを発売した。社会問題への貢献という企業姿勢で、エクステリア業界での差別化を図る。

ゼロセメ舗装用ブロック」は、セメントの代わりに高炉スラグ微粉末を使用しCO₂排出量を約94%削減した

セメントはコンクリートなどの原料として欠かせない存在だが、一方で、製造時に大量のCO₂を排出する問題がある。石井宏和取締役専務執行役員は「利益だけでなく、環境への寄与も考えていくことが、会社としてのポリシー」と、2050年カーボンニュートラルに向け、脱炭素への取り組みが加速するなか、一つのキーポイントであったセメントのCO₂排出量の問題を解決できる商品を開発した。

同社が発売した「ゼロセメ舗装用ブロック(歩行者用)」は、セメントの代わりに高炉スラグ微粉末を使用した商品。ブロックに高炉スラグ微粉末を使用したのは同社が初だという。セメント1tの製造時に排出されるCO₂量が約758㎏なのに対し、高炉スラグ微粉末1tの製造に排出されるCO2は27㎏と、原料を高炉スラグ微粉末に代替することで大幅にCO2排出を削減することができる。

高炉スラグ微粉末はモルタルの流動性をよくするための混和材として古くから使われてきた。ただ、セメントに比べ強度発現までに時間がかかるため、製造から出荷までの時間が短いブロックへの使用はされてこなかった。同社は、高炉スラグ微粉末のアルカリ刺激を与えると硬化する特性を生かし、セメントを使ったコンクリートとほぼ同じ速度まで硬化を促進する。

エクステリアでも環境配慮を
長期的な視点での建材採用が肝心

セメントレスのコンクリートは以前から求められてきたものであり、案内先の反応は良好だという。特に建築プロジェクトでの引き合いが大きい。現在はサイズや用途が限られているが、今後は建築用ブロックなどへの技術の転用も視野に商品開発を進めている。ブロック造や、混構造、建物内の帳壁など、かつて建築用ブロックが使われていたところへの再活用も考えられ、耐火性や耐災害機能を持ち合わせた堅固な空間を環境に配慮する形で提供できるのではないかとする。

一方で、エクステリアとしての展開については「住宅では断熱性能向上など環境への意識が高まっているが、エクステリアは意匠性の追及が先に立つ。業界でカーボンニュートラルに向けて、何をするか考えてもらうきっかけになれば」(石井専務)と、「ゼロセメ舗装用ブロック」の販売でエクステリア業界への環境に対する認識強化へ一石を投じたい考え。

また、集合住宅のエクステリアに同製品を使い、建物部分と合わせて環境配慮を訴えることで、オーナー側のPRの要素にもなり得るとした。

日本では舗装材として、初期費用が安く、完成までの時間が短いアスファルトの利用が多いが、インターロッキングブロックは、劣化した部分のみの取替で修繕が簡単にできるというメリットがある。同社は、長期的に見たときのライフサイクルCO2やコスト、省人化といった点において、今回の商品に限らずインターロッキングブロックを普及させたいとしている。
こうした社会課題を解決する企業姿勢を追求し、差別化を図ることで、商品はもとより、“この会社だから”という理由で選ばれる企業を目指す。