2023.5.8

NEXT STAGE、業界初、住宅の「製造力」を評価するアワードを開催

優良住宅の普及、優良事業者が評価される環境を整備

全国の住宅事業者を対象に、木造戸建住宅の「製造力」を競い合う「Japan Housing Quality Award 2023」を開催する。良質な建物の普及、優良な事業者が市場で適正に評価される環境整備に寄与していきたい考えだ。

脱炭素化を背景に、住宅・建築物の省エネ対策の動きが一気に加速している。

2025年4月には、すべての住宅・建築物へ省エネ基準の適合が義務化され、遅くとも2030年までに省エネ基準をZEH水準に引き上げ、適合が義務付けられる。その次の段階として、新設された断熱等性能等級6、7のレベルの外皮性能が求められていく。また、省エネ基準の適合義務化と合わせて、4号特例の縮小も予定されており、住宅事業者には新たな対応が求められる。

一方で、職人、現場監督の不足は加速しており、設計通りの性能が確実に担保されているのか、製造品質確保への取り組みの重要性が増してきている。

3階以下の木造住宅が対象
エントリー期間は23年12月まで

こうした背景があるなかでNEXT STAGEは、業界初となる木造住宅の「製造力」を競い合う「Japan Housing Quality Award 2023」を開催する。

エントリー期間は2023年4月1日~2023年12月31日。アワードの対象物件は、在来工法および2×4工法の、3階建以下の木造戸建住宅。2023年4月~2024年3月までの間に、全10回の現場監査を受けることができる建物。基礎形状はベタ基礎および布基礎。断熱仕様は、繊維系、ボード系、現場吹込み系、現場発泡系を用いた内断熱および外張断熱工法。北海道、沖縄県、離島などの一部エリアを除き、全国が対象となる。

エントリー料金は1物件あたり3万円(税抜)、および現場監査10工程分の料金が必要となる。

住宅事業者の工法に応じた建物評価項目、評価基準に沿って、全10回の現場監査を「法令適合」、「性能適合」、「評価タイミング」、「不備範囲」、「不備改善」の5つの評価軸で行う。

評価項目は、法令、各種共通仕様書、メーカー推奨基準などを含む約250項目。適合・不適合・施工前・未確認での判定を基本とし、指摘箇所の是正や施工推進における段取り精度を総合的に判定。建物の「製造力」を定量的に評価し、上位スコアの「建物」および「住宅事業者」を表彰する。

同社の小村直克代表取締役社長は「仕様やスペックによる『設計品質』や、住宅の営業手法などの話は、住宅事業者の関心を集めにぎわっているが、設計通りの性能を確保するための本質的な『製造品質』にこそ目を向けてほしい。職人や現場監督の不足により、住宅の製造品質の崩壊が始まっている。今後、住宅の製造品質が適正に評価される環境が必要になる。完成させた建物に光を当てて製造力を競い合う、業界初のアワードの開催により、本質的な製造品質の重要性を業界全体に広めるきっかけとしたい。ユーザーが安心して購入できる良質な建物の普及、同時に施工に携わる技術者や技能者のやりがいの醸成、優良な住宅事業者が適正に市場で評価される環境整備にもつながっていく。製造品質の向上なしには、競争力を高めていくことはできないという住宅事業者が増えていくムーブメントを創出してきたい」と話す。

全国の住宅事業者が集結し、「製造力」を競い合うプレミアムアワードを開催する
住宅事業者の工法に応じた建物評価項目、評価基準に沿って、全10回の現場監査を、法令適合、性能適合、評価タイミング、不備範囲、不備改善の5つの評価軸で行う

年間100棟以上の住宅会社から
「クオリツ」の引き合い増加

今回のアワードは、15年以上にわたり第三者品質監査サービスで培ってきた実績、ノウハウを持つ同社だからこそ実現できた企画といえる。

同社は2022年2月、ヒンシツアナリティクスクラウド「QualiZ(クオリツ)」の提供を開始した。長年、蓄積してきた建築技術のビッグデータを活用して、設計工程、製造工程、維持管理工程で品質確保に影響を与えるチェック項目を体系化。住宅事業者ごとの施工品質基準の作成のサポートから、住宅製造のあらゆるセグメントで品質を分析、評価し、施工品質に影響を与える問題がどこにあるのかを的確、スピーディに見つけ出し改善計画を含めてコンサルを行う。大工や職人、現場監督などを評価する機能も備えている。オンラインの学習ツールなどにより学びながらスキルを高めていけるように工夫している。データの裏付けにより評価され、その評価に応じて報酬をアップするといったことも可能になる。

クオリツの提供開始以降、住宅事業者の採用実績は順調に伸長してきている。

小村社長は「資材高騰、エネルギー価格の高騰により、住宅価格も上げざるを得ない状況が続き、利益の確保に苦戦する住宅事業者が増えている。こうした中で、特に年間100棟以上を供給する住宅事業者からの引き合いが増えている。抜本的にビジネスモデルの収益性を改善していくために、ボトルネックである製造プロセスに目を向け、クオリツを積極的に活用し分析、改善を進めている」と話す。

「クオリツ」のノウハウを応用
未導入企業もエントリー可能

今回のアワードは、このクオリツのクラウドシステムを用いて建物評価を行う。クオリツ未導入の新規企業などを対象に、建物評価項目を一般的な業界推奨基準で評価を行う「推奨基準コース」と、クオリツ導入済企業などを対象に、すでに作成している自社基準で評価を行う「自社基準コース」の2つのコースに分け、建物部門表彰と会社部門表彰を行う。会社部門については同一の住宅事業者で3棟以上の現場監査を終えた企業のみ表彰対象となる。
入賞特典として、表彰状、記念トロフィー、受賞記念現場イメージシートを授与。また、参加特典として「現場分析レポート」、「アワード成績表」、「現場監査記録書」を提供する。

「将来的には、『食べログ』的な発想で、住宅事業者の製造力を知るための手段として、エンドユーザーもアワードの結果に関心を持つようになるまで発展させていきたい。一生に一度の住宅購入という大きな買い物を安心してできるように、アワードの普及を通じて貢献していきたい」(小村社長)考えだ。