2023.4.27

LIXIL、炭素繊維強化樹脂を建材に利用

エクステリアや窓サッシなど展開を広げる

LIXILは炭素繊維強化樹脂(CFRP)を他素材と複合し建材に使用する技術を確立し、「FORCE CARBON」と銘打ち本格始動した。CFRPの性質を生かした付加価値商品を展開していく。

CFRPは、炭素繊維を樹脂で固めたもので、軽量で強く、振動を減衰する、電気を伝えるといった性質を持つ。その性質から自動車や電車、スポーツ用品など多方面で使われている。一方で、建材分野では、コストを抑えて高耐久なものをつくらなければいけないため、使用は難しいと考えられてきた。

CFRP をフレームに使用した「SEAMLESS」は、極限まで無駄をそぎ落とした凹凸のないデザインを実現

今回、同社が確立した技術は、CFRPを他素材と接着、嵌合するためのもの。他素材と組み合わせて使用することで、建材としての販売が可能なレベルにまでコストを下げながら、ほかの材料では実現できない付加価値の開発を可能にする。「住宅においてすでに当たり前の機能や付加価値は充足している。これまでにない非連続な価値を生み出すために、新しい素材への挑戦が必要となっている」(LIXIL技術研究所 山崎弘之所長)とし、いかにして少ないCFRPの使用量で最大限CFRPの強みを発揮できるか、材料や成型などを工夫したという。

また、耐久性については、コンピュータ解析(CAE)の専門チームで、モデリングやパラメータを独自で設定し、構造解析を重ねた。シミュレーションで性能を確認し、最終的に、接着面の強度を同社がこれまで培った評価技術で測定することで、開発のコストや時間を最小限にとどめながら品質を確保した。

パノラマウィンドウに採用
新規性で富裕層から注目

こうした蓄積をベースに、これまでエクステリア建材で、CFRPとアルミの複合材スリーブを使用した最長10mの梁材「プラスG ロングアーチ」や、CFRPを使用して柱がなくても自立し、光、影、気配といったニュアンスを演出する「パーテーションConcept F」などの商品を展開しているが、今年4月からは、新たにフレーム部分にCFRPを採用した世界初のパノラマウィンドウ「SEAMLESS」の発売を開始した。

「SEAMLESS」はCFRPの熱貫流率の低さや高耐久性という特徴を生かし、広い開口を取りながら、電動でのパラレル&スライド開閉によるフラットな面一構造を実現。枠内に機能を収納するコンシールド設計を採用し、窓を閉じた際には、一枚のガラスのようにフラットに納まる。「SEAMLESS」は高価格帯ブランド「NODEA」の最高級ラインとして販売しており、参考価格は1700万円(サイズ:W4000㎜×H3000㎜の場合)となっているが、ほかにない眺望性の高さなどから既に引き合いも何件かあるという。

CFRPを使用した建材は、今後も様々な事業の商品に広く展開していきたいとする。今までの材料では作れなかった建材の開発や、デザイン性が重視される店装などでの活用を見込む。