都市型に特化した住宅事業で急成長 設計施工の一貫体制でユーザーニーズを形にする

DX化で飛躍するビルダー 和光ホームズ

和光ホームズは大阪市内を中心に、注文住宅を年間220~230棟供給する。
条件付分譲する宅地の仕入れから販売、施工までを社内一貫体制で取り組むことが大きな特徴だ。
この事業を裏側で支えているのが基幹システムの住宅マネージャーである。

藤井健太 事業統括本部 経理課 次長

和光ホームズ(大阪市住吉区、廣瀬純一郎代表取締役)は、大阪市内を主なエリアとして住宅事業を展開する。完全自由設計の「ウルバノシリーズ」、自由度を残しながらもある程度規格化した主力の「ロイヤルシリーズ」、コストを抑えた「コンフィットシリーズ」などにより、年間220~230棟の注文住宅を手掛けている。

その特徴は、顧客の要望にとことん寄り添う姿勢と提案力だ。事業エリアを大阪市内に特化していることもあり、狭小地向けの住宅がほとんど。大都市中心部では、敷地条件が厳しく、法規制への対応など難しい対応を求められるが、そんな場所にあっても顧客が納得する家づくりを提案する。社内に設計担当者が15人おり、顧客とマンツーマンで対応し、納得する間取りができるまで打ち合わせをすることができる。さらに、自社で設計施工をすべて行う一貫体制を取っていることから、要望に対する対応力が非常に高い。

また、和光ホームズからの提案も積極的だ。例えば、屋上にプチリゾートのような庭園をつくる「リヴィラス」はシリーズを問わず導入することが可能だ。都市のなかでも緑や遊びの空間を確保できる提案である。コロナ禍で自宅でより豊かな暮らしがしたいといったニーズにマッチし、ショールーム内で行うバーベキューなどの体験イベントは毎回盛況だ。

もう一つの特徴が、不動産を扱う部署を持っており、常に200程度の物件を抱えていることだ。こうした土地を条件付き宅地分譲し、注文住宅を建築するのが和光ホームズのビジネスモデルである。ある程度まとまった宅地分譲をおこなう際には、モデルとして「コンセプトハウス」を建設、実際の住宅をみてもらい、イメージを広げてもらう。常時20~30棟を展開しており、大きな集客手段となっている。

同社の中期計画では、1年後に300棟、3年後に350棟という目標を掲げる。ただ、エリアを郊外にやみくもに広げるのではなく、同社の強みである都市型住宅に絞り込んだ展開を追求する考えだ。

急成長のなかで求められた新システムの導入

和光ホームズが住宅マネージャーを導入したのは10年ほど前のこと。当時、まだ和光ホームズという形は整っておらず、住宅の販売、施工会社、不動産会社と別の会社で事業を展開していた。

別会社ではあるものの、一棟建てるのには三社が関係する。この三社でデータを共有したいが、会計は別々に処理をしなくてはならず、しかも経理部署は一つしかない。経理上複雑な作業が必要であり、大きな手間がかかっていた。こうしたなかで、DX化によりその合理化を図り、システムで最終的に決済情報までを連携したいという強いニーズがあった。

そのソリューションとして住宅マネージャーを導入してから約10年が経ち、和光ホームズも大きく変わった。

別会社であった3社を一つの会社に統合、和光ホームズとして新たなスタートを切り、一貫体制を大きな武器の一つとして事業拡大に取り組んだ。こうしたこともあり、5年ほど前には年150棟程度であった販売棟数は、年200棟を超えるまでに拡大した。この5年間で急成長したのである。

一方で、この成長の過程で新たな課題も出てきた。

例えば、大きな課題であったのが販売数の増加だ。それまで土地の仕入れ・販売ともにマンパワーに頼ってきた。月4~5件を仕入れ、造成まで含めると手離れまで半年~1年はかかる。物件数が増えるなか増員を図ったが、その管理の仕方を統一する必要性が生じ、システムの活用が必要不可欠となった。

ちょうどシステムの入れ替えを検討するタイミングでもあったため、住宅マネージャーの新バージョンに切り替え、昨年7月に稼働させた。

要望にとことん寄り添う姿勢と提案力で「住むほど好きになれる家。」を提供

社内改革にも大きな役割
経営のスピードアップに寄与

住宅マネージャーの新バージョンへの切り替えは、和光ホームズをさまざまな面から次のステージへと押し上げた。

例えば、建築部門においては、予算管理がより実態に近いものになったという。従前は、仕組上、予算を組んだものを項目別に分けることが難しく、見積もりが上がったものに対して予算を組んでいくという対応だった。しかし、新システムは一つの予算を分割することで金額での仕切りを明確化でき、プロジェクトごとの利益を管理しやすくなった。つまり一棟一棟の残すべき利益をはじめに設け、そのなかでやりくりするという管理ができるようになったのである。

また、新システムの導入は、新たな社内体制の構築にも大きく寄与する。同社は不動産分譲事業、建築事業、リフォーム事業、注文事業の4本柱で事業を展開、先のとおり社内一貫体制を大きな武器とする。しかし、収支面であいまいな線引きがあったのも事実だ。そこで経営判断のスピードアップや会社全体の合理化などを目的に、事業部ごとの収支を明確にしていく予定だ。事業規模が拡大するなか、従前のように代表一人がすべての収支をつぶさに見て的確な判断を下すことが難しくなるため、事業部ごとに最終権限者として選任の部長を設けるといったような組織改編を行う予定。こうした取り組みを進められるのは、新システム導入により部署ごとの収支を明確にできるようになったことが大きい。

社員の勤怠管理、会社全体のペーパーレス化、足元ではインボイス制度への対応など、和光ホームズでは、DX化を通じた社内の改革や合理化、また、諸課題の解決などにさらに積極的に取り組む考えだ。

屋上にプチリゾートのような庭園をつくる「リヴィラス」。都市のなかでも緑や遊びの空間を確保できる

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