2022.10.6

モック、千葉市稲毛区に大型パネル工場を新設

年間60棟を製造 首都圏市場を開拓

建材商社のモック(埼玉県八潮市)は、千葉市稲毛区に大型パネル工場を新設した。紀州材の製材・プレカット材を活用した大型パネルの製造に挑戦し、首都圏市場の需要開拓を進める。

モック(埼玉県八潮市)は、林業から、木材製材、プレカット加工販売事業を展開する山長商店(和歌山県田辺市)のグループ会社で、首都圏を中心に木材建材販売事業を行う。

山長グループでは、独自の木材の生産・流通システムを構築し、林産地と都市の連携による循環型ビジネスモデルを推進する。紀伊半島に約5000haの自社林を持ち、林業、素材生産、製材、プレカット加工、販売まで、モックと協同したグループ一貫生産体制を確立。地域の林業関係者と協力し、JASにより品質が公的に担保された無垢国産材を個別の住宅ごとにプレカット加工し、都市部の工務店に販売する安定供給システムを実現する。山長グループでは、年間約1200棟の製材・プレカット材を生産。そのうちモックは首都圏での紀州材の製材・プレカット材の販売を担い、地域工務店などに対して約400棟分の材料を供給している。

新工場の開所式で、榎本哲也社長は「大工が減少していく中で、限られたリソースをどこに振り向けていくのかということが問われている。これまでとは違うやり方を模索しなければ、という危機感があった。1990年代の初期、プレカットの黎明期から取り組んできたが、今や9割を超える木造住宅でプレカットが使用されている。大型パネルには、黎明期のプレカットと同じ可能性を感じている。建築請負はやらないというスタンスを徹底し、建築事業者に寄り添い、まずは月産6~7棟、年間60~70棟のペースで受注、生産を開始する。大型パネルから派生する価値に期待している」と述べた。

大型パネルでは、パネルの精度を高めるために、基本的に寸法精度が確保された集成材などを構造材として使用する。対して、モックの大型パネル工場では、高品質な紀州材の製材・プレカット材を供給してきた豊富な実績を生かして、紀州材の製材・プレカット材を活用して大型パネルを製造する。また、大型パネルの活用により、設計の初期段階で詳細な需要情報を把握できることを生かして、山側のサプライヤーとの情報連携を進め、ジャストインタイムのサプライチェーン構築にも挑戦する。「利益もリスクもシェアし、関係者の顔が見えるサプライチェーンをつくっていきたい」(榎本社長)考えだ。

「大型パネルを初めて知った2018年から、大型パネルを介して様々な出会いがあった。そうしたたまたまとも言える出会いから新しいビジネスが広がっている。新しいビジネスがさらに広がっていくように、様々な人が出入りする活気ある工場にしていきたい」と話す榎本社長
ウッドステーションの塩地会長は「今回の新工場設立を発芽点に、将来的には、全国1000カ所に、大型パネルの生産工場を増やしていきたい」と述べた
新工場の開所式では、大型パネル製造のデモンストレーションも行われた