2022.8.19

住宅、賃貸でCLT活用が拡大

大空間創出、省力化などに勝機

ゼネコンなどが木造化推進の一環として大規模建築でCLTを活用する動きはあったが、ここにきて戸建住宅や賃貸住宅の分野においても、CLTを活用して差別化につなげようとする動きが目立ち始めている。CLTの強みを生かして大空間を創出する、あるいは工場で金物なども含めて一体化しパネル化することにより現場施工の省力化を実現するといった新しい価値を創出し、需要を掘り起こしていきたい考えだ。

エンドユーザーの認知度向上へ
CLT住宅商品を開発

ライフデザイン・カバヤが開発したCLTハイブリッド構法のイメージ。内装仕上げ前

ライフデザイン・カバヤは2017年に大学教育機関や民間企業らと共同で、オリジナル接合金物を用いた独自のCLT工法「LC‐core構法」を開発。壁倍率換算20倍相当の壁耐力を実現でき、建築物のコア部分にCLTを効果的に配置することで、CLTの設置枚数を抑えながら開放的な空間を創出できる。

2018年には、CLT工法「LC‐core構法」を用いたサステナブルな木造建築の普及拡大を目的に「日本CLT技術研究所」を立ちあげた。フランチャイズで会員企業を募集し、現在、全国各地のビルダーやゼネコンなど約40社が加盟する。

日本CLT技術研究所の城智己課長統括マネージャーは「約40社にまで加盟店が増え、施工エリアは、北海道を除く全国に広がり、建設実績も着実に伸びている。しかし、CLTというと非住宅のイメージが強く、一般の方の認知度は低い。さらなる普及拡大を目指すには、より多くのエンドユーザーにCLTを知ってもらい、認知度を高めていく必要がある」と話す。

そこで、多くのファンを持つ木造住宅の建築家、伊礼智氏にアプローチし、CLT住宅の設計を依頼した。同研究所が開発したCLT工法「LC‐core構法」を用いて、2020年8月から販売を行っているCLT戸建住宅商品「LAMI」の持つスケルトン&インフィルの考え方をベースに、伊礼建築の思想を盛り込んだ企画型のベーシックプランを用意した。エンドユーザーのライフスタイルを反映して、雑壁などを変更することが可能で、プランに自由度を持たせた。加盟企業を募り普及拡大を目指す。

さらに、在来軸組工法をベースに、耐力壁としてCLTパネルを組み込んだ新住宅工法「CLT ハイブリッド構法」を開発し、2022年7月から販売を開始した。新住宅工法「CLT ハイブリッド構法」では、壁倍率換算3倍~7倍の耐力を持つ剛性の高いCLT耐力壁を建物内に適材適所に配置することで、耐力壁の配置を少なくし、耐震等級3の耐震性能を保持しながら、間取りの自由度を高められる。一般的な木造住宅と同じプランで比較すると最大10畳分を拡大できる。また、2022年5月、CLT耐力壁で45分準耐火構造の国土交通大臣認定を取得した。これにより準耐火構造の在来軸組工法住宅において、CLTの木肌をそのまま見せる現し仕上げが可能で、木質感あふれるダイナミックな空間を演出できる。同社の主力ブランドであるカバヤホームの注文住宅として展開。全棟構造計算を実施し、安全性の見える化にも取り組む。

CLTのパネル化で工期短縮
中層建築市場で新規需要を開拓

大東建託は、オリジナルCLT工法により、4階建て、5階建ての中層建築市場の開拓を狙う。


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