ポートフォリオの多様化・多層化へ 議論しあえる密度の濃い会社にしたい
ミサワホーム 作尾徹也新社長
ミサワホームは6月23日に定時株主総会等を開き作尾徹也新社長が正式に就任した。これまでの竹中宣雄取締役会長は非常勤取締役、磯貝匡志代表取締役社長と下村秀樹代表取締役副社長(現:ミサワリフォーム(株)代表取締役社長執行役員)は退任となった。さらに取締役も一新するなど新たな体制のもと就任した作尾社長が新生ミサワホームのこれからについて語った。
──作尾社長はこれまでどんな事業に携わってこられたのですか
ミサワホームに入社したのは1981年。最初の7年間はディーラーに出向して立川と横浜で営業を経験しました。当時売っていたのはセラミック住宅で、商品としては「ハウス55」や「SXシリーズ」でした。その後、メーカーに戻り営業企画部、商品開発部と異動しセラミック住宅の設計を担当しました。当時手掛けた商品で思い出深いのはなんといっても世界初となるゼロ・エネルギー住宅「HYBRID‐Z」(1998年発売)です。
いまでこそ「ゼロ・エネ」の考え方が当たり前ですが、当時は『ゼロ・エネ』の言葉さえなく、設計手法も参考にできる文献も日射量データもなにもなく、一つひとつ手探りで進めていきました。創エネルギー技術の要となる太陽光発電も日本で流通しているものがなく、アメリカから取り寄せて日本でアッセンブルしたオリジナルのものでした。
さらにオーダーはこれだけでは終わらず、『エネルギーだけでなく、21世紀に向けた新しいアイディアを21個つくりなさい』と。音声応答システムのシャッターなどを自社開発しました。傍からみると確かに苦労したのかもしれませんが、その時は無我夢中でしたし、新しい技術開発へのエネルギーでみんなが燃えていた。ゼロ・エネ住宅も音声応答システムも時代としては早すぎたのかもしれませんが、モノづくりの面白さ、わくわく感を体験できたのは今も私の核になっており、そんなモノづくりができるミサワホームであり続けなければと改めて思います。
──ミサワホームの現状についてどうお感じになっていますか
竹中前会長が打ち出していた事業のポートフォリオは、「新築請負」、「ストック」、「街づくり」、「海外」、「介護」の5つの事業が柱です。ただ、ディーラー・関連会社の各事業をみていくと、事業によっては取り組んでいるところ、ないところもある。取り組んでいても事業的にうまくいっているところ、課題を抱えているところもある。その現状が見えてきて、まだまだやり残したことがあると感じました。
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