2022.7.27

住宅・建築業界でBIM活用拡大

労働力不足の解消、脱炭素化を推進

住宅・建築業界でBIMを活用して、生産性を高め、現場での廃棄物の発生などを抑制することで、労働力不足の解消、脱炭素化に結び付けていこうとする動きが活発化している。

50%生産性向上などを実証
納材の効率化など課題も明らかに

精密プレカットBIMモデルにより、様々なサイズにプレカットされた石膏ボード。QRコードで、納材確認などを行える

東急建設と野原ホールディングスは、ビルの増築工事にBIMを活用。10階建ての東急虎ノ門ビル増築工事において、乾式壁に関わるBIMプレカット施工の検証を行った。

東急建設は、かねてより施工フェーズでのBIM活用を検討しており、今回、ビル建設の内装工事の分野で、メーカー、工事店と協力関係を築き、豊富な実績を持つ野原ホールディングスをパートナー事業者として、国土交通省が実施する「令和3年度 BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(パートナー事業者型)」に手を挙げ採択された。東急建設は、事業全体の計画・管理・構造設備を統合した施工BIMモデルから、デジタルツインの技術で現実の建物をバーチャル空間に再現。野原ホールディングスは、デジタルツインのバーチャル空間上で内装工事前の躯体の形状を実測し、精密プレカットに対応するBIMモデル(以下、精密プレカットBIMモデル)を作成、プレカット施工を実施した。

技能労働者による、プレカットされた石膏ボードの貼り作業の様子

今回の検証では、2階、3階、7階については、従来通り現場で採寸を行い、搬入した軽量鉄骨(LGS)乾式壁下地材及び、石膏ボードを現場で加工し納めた。一方、4階、5階、8階については、精密プレカットBIMモデルを用いて、メーカーの工場にある専用の加工機でLGS、石膏ボードをプレカットし、各フロアに搬入して施工した。検証の結果、プレカット施工により、従来施工に比べてLGSの組込や石膏ボードの貼り作業時間が30~50%減少し、現場施工を大幅に効率化できることを確認。また、精密プレカットBIMモデルで建材数量を正確に把握することで、適切な数量の建材発注により、従来施工に比べて発注量に対する現場廃材量(CO2重量%)を4・6%削減できた。さらに、プレカット施工により、現場での高速カッター使用回数を4割削減でき、騒音の未発生、高速カッター・工作用カッターの誤操作による事故削減などの労働災害の防止の効果を確認した。


この記事は会員限定記事です。
無料会員になると続きをお読みいただけます。

アカウントをお持ちの方

ご登録いただいた文字列と異なったパスワードが連続で入力された場合、一定時間ログインやご登録の操作ができなくなります。時間をおいて再度お試しください。