2022.7.15

安心計画、AIがプラン提案資料を作成するサービスを開始

ロボアドバイザーで住宅営業の確度を高める

安心計画(福岡県福岡市、小山田隆広社長)は、AIを活用した建築ロボアドバイザー「マイホームロボ」をLib Work(熊本県山鹿市、瀬口力社長)と共同開発し、サービス提供を開始した。約5分でプラン提案を行うためのツールを作成できるもので、住宅営業のあり方を変革する可能性を秘めている。


15問の簡単なアンケートに回答するとAI が最適なプランを提案する

金融投資の分野などでロボアドバイザーが注目を集めている。AIなどを活用し、資産運用のアドバイスなどを行ってくれるサービスだ。このロボアドバイザーの考え方を住宅営業に利用したサービスが登場した。安心計画が住宅会社であるLib Workと共同開発した建築ロボアドバイザー「マイホームロボ」は、施主に提出するプレゼン資料一式を自動作成するサービス。経済産業省中小企業庁の「新連携支援事業」の採択プロジェクトとして開発を進め、安心計画が本格的なサービス提供をスタートした。

15問のアンケートに回答すると
2500プランから最適なものを提案

マイホームロボでは、住宅営業の新しい潮流「ロボアドプランニング」という手法を確立している。

施主とのファーストコンタクトの段階で受注に至るまでの確度を高めようというもの。施主が15問の簡単なアンケートに回答すると、約5分で超高画質の内観・外観CGパース、間取り図などを盛り込んだプレゼン資料一式が完成する。

2500プランすべてに超高画質のCGパースが用意されている

この仕組みの肝となっているものが2500プランもの情報だ。2500プラン全てに3パターンの外観のCGパース、内観のCGパース、間取り図などを用意している。さらに、室内をパノラマで360度見回せるVR(バーチャル・リアリティ)も全てのプランで利用できる。それぞれのプランには、CAD編集が可能なデータも用意されている。このデータを活用すれば、反転などの機能を使うことで、2500プランが実質1万プラン以上になる。さらに提案したものに修正を加えながら、より詳細な打ち合わせを進めていくこともできる。

室内をパノラマで360度見回せるVR(バーチャル・リアリティ)も全てのプランで利用可能

施主がスマートフォンなどで15問のアンケートに回答すると、AIが2500プランの中からニーズにあったプランを選んでくれる。その中から住宅会社の営業担当者が施主の希望を考慮しながらいくつかのプランを選択すると、自動でプレゼンボードが作成される。

また、建物の大きさや希望のキッチンなどの具体的な要望が分かっていれば、住宅会社の営業担当者が絞り込み検索などを行うことも可能。

AIが特におすすめするプランも示される。AIの判断に任せてプレゼンボードを作成することもできるというわけだ。

マイホームロボの開発に当たっては、Lib Workの住宅会社としての知見や情報などを活用しながら、AIがより高い確度でプランを選択するような質問設計などを行ったという。

また安心計画では、将来的にはプラン数を1万件にまで増やしていきたい考え。ここまで膨大な量のプランデータを基にしながら、特定の会社専用のものではなく、不特定多数の住宅会社が利用できるサービスは珍しい。住宅会社にとっては、手間をかけることなく、膨大な量のプランをすぐに提案できるというメリットがある。

営業担当者の強力なサポート役に
インサイドセールスにも活用

開発に携わった安心計画・情報システム本部情報戦略部の岡原光輝氏は、「あくまでも営業担当を支援するためのツールであり、施主だけで完結する使い方は想定していない」と述べる。

ホームページ上で施主がアンケートに回答すると自動でプランが提案されるといった仕組みを構築することも可能だが、営業担当者をあえて介在させることにこだわる。それによって、営業担当者と施主のコミュニケーションにより得られる安心感や信頼感の醸成へとつなげていきたい考えだ。

コロナ禍を経て住宅営業の手法も変わりつつあり、ファーストコンタクトの段階でインサイドセールスを利用する企業も増えている。インサイドセールスの際に、マイホームロボのアンケート回答ページのURLを知らせて回答してもらえれば、いち早くプラン提案を行うことも可能になる。

さらには、SNSなどにアンケート回答のURLを掲載し、集客装置としてマイホームロボを利用することなども行える。

安心計画の小山田社長は、「例えば『かわいい家』というイメージだけでは、担当者によってプラン提案の内容も変わってしまう。施主の方々も自分の理想のイメージを上手く伝えられないことも多いだろう。そのギャップをAIなどで埋めることができれば、住宅会社だけでなく、施主にとってもメリットがあると考えている」と述べており、マイホームロボの提案を通じて、後悔しない家づくりにも貢献していきたい考えだ。