2022.6.29

DXでライフスタイルメーカーへ 住宅会社の暮らし提案型企業への転換を支援

タカショー 代表取締役社長 高岡伸夫 氏

タカショーは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)によってライフスタイル創造型の暮らし提案を強化している。同社の高岡伸夫社長は、「商品ではなく暮らしを提案していくために、『エクステリア』という言葉をもう一度創りたい」と語る。その真意などを聞いた。


タカショー 代表取締役社長 高岡伸夫氏

──ガーデンエクステリア市場の現状をどのように捉えていますか。

コロナ禍によって在宅時間が増えたことで、庭空間に対する関心度は確実に高まっています。日本以上に海外ではその傾向が強く、イギリスでは庭いじりを楽しむ人々が急激に増えていると聞いています。今後、Withコロナへと移行するなかで、自宅の庭で過ごす時間を充実させたいというニーズはさらに高まると考えています。

我々のガーデンエクステリア業界では、商品を作って売るということに注力してきました。メーカーなので当たり前と言えば当たり前ですが、メーカーが売りたい商品を売り込むという手法は限界に来ていると感じています。お客様はエクステリア商材が欲しいわけではありません。庭での充実した時間を求めています。

私は「エクステリア」という言葉をもう一度創りたいと考えています。先ほど言ったように、もう商品を売る時代ではないからです。当社では、以前からエクステリア商材ではなく、庭での暮らしを提案してきました。庭という空間を快適かつ健康的な空間にし、そこでの時間をお客様に提案しているのです。

このことは住宅でも同じことが言えるのではないでしょうか。住宅というハードを売るのではなく、そこで育まれる暮らしを提案していく。大手ハウスメーカーや先進的な工務店の方々は、すでにそういった考えで事業を展開しており、消費者の支持も得ています。

当社では、庭から暮らしを考えていくことで、自ずと住宅も暮らしを創造するものに変わっていくと考えています。実際にライフスタイル提案型へとシフトしている住宅会社の多くが、庭空間を重要視しています。

DXツールを活用し空間を商品化していく

──暮らし提案を落とし込んだ商品を販売していこうということでしょうか。

「空間を商品化していく」と表現した方が適切です。以前から空間の商品化を重要視してきましたが、なかなか理解されないこともありました。商品と違って、空間を見える化することは難しいからです。
これまでもイメージパースや写真、さらにはショールームでの商品展示などを工夫しながら、より具体的な空間のイメージを見える化してきましたが、ここにきてDXによって商品化された空間を見える化しやすい環境が整いました。

「住まいと「共鳴」する庭。」をコンセプトに展開する外構ブランド「レゾナンス」のファサード

──DXによって空間提案が行いやすくなったということでしょうか。

当社では、家と庭が重なり合う中間領域を「5th ROOMⓇ」として、質の高い庭空間を提案する商品をパッケージ化する形で提案してきました。また、無償で利用できる「庭・外構パッケージプランサイト」も開設しました。予算や場所、趣味・趣向などを入力していくと、ニーズに合ったパッケージプランの画像を確認できるものです。CADデータとも連動しており、金額・図面などのデータもダウンロードできます。エンドユーザーからプロユーザーまで幅広く利用できます。

あくまでも標準モデルを提示するものではありますが、庭を空間として提案したいプロユーザーの方々にとっては、完成後のイメージを見える化できる力強い武器になるはずです。

また、施工イメージが簡単に作れる無料アプリ「メタバガーデン」は、スマホやタブレットを施工予定の場所にかざすと、簡単にARによって商品の設置後のイメージをシミュレーションできるものです。撮影した画像やパースに庭・外構素材を合成することも可能です。

さらに「タカショーVRパーク」では、空間ごとに商品や動画、事例などをバーチャル体験できます。直観的に役立つ情報を確認することが可能です。

「タカショーVRパーク」では、空間ごとに商品や動画、事例などをバーチャル体験できる

──DXを推進するための拠点も整備したそうですが。

2021年4月に鳥取市に「タカショーGLD−LAB.Soft−Factory 鳥取(タカショー ジーエルディーラボ.ソフト‐ファクトリー トットリ)」を開設しました。

また、タカショーグループ海外子会社でソフト工場となる「TAKASHO GARDEN LIFE DESIGN LAB PHIL.Corp(タカショー ガーデン ライフ デザイン ラボ フィリピン)」との連携も強化しています。

これらの拠点では、これまで培ってきた知識やノウハウなどを生かしながら、WebやITツール、アプリケーション開発だけでなく、最新デジタル技術を駆使したガーデンシミュレーションアプリなどの研究開発を進めています。

加えて、VRパースや4Kパース動画などの作成サービスも展開しており、住宅事業者の方々などから高い評価をいただいています。

4Kパース動画などを用いて空間や暮らしのイメージを見える化

──どのようなサービスなのでしょうか。

VRパースについては、高クオリティのVR用のパースを作成しています。バーチャル展示場などを利用する住宅会社が増えていますが、こうしたVR展示場などにも利用できるパースを提供するサービスです。

4Kパース動画については、リアルな住宅パースを用いた動画を作成しています。竣工前に非常にリアルな完成後の姿を把握できます。

また、時間や季節の変化によって、暮らしの空間がどのように変化していくのかといったことも確認でき、暮らし提案を行いたい住宅会社にとっては、非常に有意義なツールになるはずです。

ある工務店様の事例では、分譲住宅全体の4Kパース動画を当社で制作させていただきました。街並みや個別の住宅の外構空間提案を行い、4Kパース動画によって完成後の街並みの美しさや暮らしのイメージを把握できるようにすることで、非常に訴求力の高い営業ツールとして、販売促進に貢献することができました。

──DXによってタカショーが目指す空間提案の訴求力を高めることで、住宅会社の暮らし提案を後押ししていこうというわけですね。

そうです。ただし注意すべき点もあります。DXで空間をバーチャルに見える化したとしても、それを実際に実現できなければ、まさに絵に描いた餅で終わってしまいます。当社には、バーチャルで創造した空間を具現化するための本物志向の商品と技術があります。この点も強みだと自負しています。

──7月28日、29日の「タカショー ガーデン&エクステリアフェア 2022」では、まさにDXを用いた空間提案の手法と、それを実現する商品を展示されるそうですが。

「心豊かに暮らす家と庭 DXとリアルのハイブリッド空間」をテーマとして、リアルとオンラインで同時開催します。リアルは東京都大田区の東京流通センターにて、単独開催(展示面積4500㎡)で行います。

「心豊かに暮らす家と庭 DXとリアルのハイブリッド空間」をテーマに「タカショー ガーデン&エクステリアフェア 2022」を開催予定(写真は2021年時の様子)

先ほどご紹介したDXツールを体験できるだけでなく、実際の商品を使った空間提案も展示します。
ファサード&エクステリア提案ブースでは、門扉と門柱のカラーを前出のメタバガーデンを使ってシミュレーションできるほか、ワンランク上の上質なファサードパッケージ空間を展示公開します。
リフォーム提案ブースでは、庭リフォームに最適なパッケージプランなどを提案しています。

ガーデン提案ブースでは、豊かな庭での暮らしを実現する空間展示を体験できるほか、展示プランのCADデータを利用できるといった工夫も盛り込んでいます。

非住宅や施設向けの空間展示を行うコントラクト提案ブースにも注力しています。ホテル・旅館向けのライティング提案をはじめ、自然な木目の色ムラを人工木で表現した「コントラクトデッキ リアル」なども展示します。

まずは今回の「タカショー ガーデン&エクステリアフェア 2022」を体験していただき、DXツールを活用した暮らし空間提案と、それを具現化するための商品をご覧いただくことで、より質の高い暮らしを提案していくきっかけを掴んでいただければと考えています。