2022.6.14

LIXIL ビジネス、価値の創出へ ESGの取り組みが進捗

2050年「CO₂ゼロと循環型の暮らし」を実現

LIXILは、ESG説明会を開催し、ESGに関連する取り組みの進捗状況を説明した。事業活動によるCO₂排出量は、2016年3月期から18.2%削減。特に廃棄物の再資源化率は、全地域において改善した。


「環境ビジョン2050」で取り組む3つの環境課題について説明する瀬戸社長

ESGとは、環境、社会、企業統治のこと。瀬戸欣哉社長は、「ESGは、事業存続、継続のため必要なコストと捉えられがちだが、我々はこれを価値創出の機会と考えている。環境問題を解決し、貢献することで、ビジネス、価値を創り、株主に貢献できる」と話す。

同社は、「環境ビジョン2050」を策定し、「気候変動対策を通じた緩和と適応」、「水の持続可能性を追求」、「資源の循環利用を促進」という3つの環境課題に取り組むことにより、2050年までに「CO₂ゼロと循環型の暮らし」の実現を目指す。また、2050年の環境ビジョンの実現に向けて、2030年までのロードマップとなる中間目標を策定。さらに、2021年3月期を最終年度とする5カ年の環境中期計画を設定し、自社とサプライチェーン全体におけるCO₂排出量の削減を進める。事業活動によるCO₂排出量は、2016年3月期から18.2%削減することに成功。目標の8%削減を大幅に上回った。特に廃棄物の再資源化率については、全地域において改善した。同社は、2022年度中に新たな環境中期計画を策定し、さらに高い目標を設定する方針だ。

環境負荷を低減するための商品やサービスに関する取り組みも進める。

例えば、新築用の窓における高性能窓の販売比率を2026年3月期までに100%にまで高める目標を掲げる。2021年前期にすべての窓シリーズを刷新し、既に80%近くにまで高めている。

また2022年、ESGに関する取り組みを加速するために、新たに環境戦略委員会を立ち上げ、ガバナンス体制を強化した。経営陣や事業部門と密接に連携しながら、全社的な環境戦略の策定と事業への適切な浸透を図る。また、取締役会が環境戦略委員会の活動を監督する環境ガバナンス体制を構築する。

インクルーシブな環境構築へ
人材育成に投資

ESGのSの部分の取り組みとして、人材育成、従業員の育成と成長への投資を推進する。目指すのは、多様な人々が互いに個性を認め、一体感を持ち働くことができる、インクルーシブな環境の構築だ。瀬戸社長は、「環境や社会問題の解決に貢献するために、まず社内に目を向け、従業員ができるだけ力を発揮できるような、インクルーシブな環境の構築を進めている」と話す。

インクルーシブな環境整備の一環として、人材獲得ガイドラインを改定。より多様な人材を世界各国で採用できるように、ポリシーやプロセスを見直し、バイアスを取り除いた。

また、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)研修をすべてのマネージャーに展開。まずは経営陣からスタートした。これまでに約100回のワークショップをグローバルに開催し、約2700人が参加した。

さらに、柔軟性のある働き方を導入。例えば、日本ではコアタイムを廃止し、リモートワーク、在宅勤務を恒久化した。