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2022.6.17

野村不動産動産 × 東京電力エナジーパートナー バーチャルメガソーラーを始動

国内初 分譲戸建住宅にPPAで太陽光1000kW

野村不動産動産 と東京電力エナジーパートナーは戸建分譲住宅に初期費用、月額サービス料ともにゼロ円で太陽光発電を設置し、電力を自家消費できる事業をスタートした。
年間300棟の導入を目標に掲げ、首都圏の住宅地でメガソーラーを実現する。


バーチャルメガソーラー導入を計画している「プラウドシーズン稲城南山」

野村不動産動産は、東京電力エナジーパートナー(東電EP)による太陽光PPAサービス「エネカリプラス」を活用し、首都圏を中心に展開する分譲戸建「プラウドシーズン」に太陽光発電を設置、メガソーラー発電と同規模となる総発電出力1000kWの「バーチャルメガソーラー」に取り組む。同様の取り組みは他に例がなく、国内初。休閑地が少ない首都圏において、省エネ・創エネにより「電力の地産地消」を推進する。

「エネカリプラス」は、東電EPが住宅の屋根を借りて太陽光発電を設置し、発電した電力を居住者が利用できるサービス。今年2月にサービスの受付を開始した。初期費用が無料で、月額費用は定額サービス料金(太陽光発電の自家消費分と機器の利用料を含む)。対象設備は太陽光発電が必須で、蓄電池、「おひさまエコキュート」は利用者が選択できる。契約期間は機器により10年または15年となっている。

野村不動産はプラウドシーズンを首都圏を中心に年間約400棟展開している。この戸建分譲住宅に「エネカリプラス」を導入することでメガソーラーと同規模の再生可能エネルギーを創出する。

メガソーラー発電とは発電規模が1000kW以上の大規模な太陽光発電システムのことで、全国的に発電設備が増加している。ただ、メガソーラーは土地の確保や開発過程における環境負荷などの課題があり、特に休閑地が少ない首都圏での導入は非常にハードルが高い。「プラウドシーズン」には平均約3.5kWの太陽光発電設備を搭載できることから、住宅地において1000kWというメガソーラー規模の発電を毎年実現できることになる。

3者がメリットを享受
持続可能なビジネスモデル

同事業のポイントは首都圏で大規模な発電を実現することだけではない。野村不動産動産ホールディングスの中村篤司執行役員は、「企業2社の連携ではなく、共通のお客様を含めた3者で一緒に取り組むこと。そして3者それぞれがメリットを得ることができる仕組みであることから、途中でやめることなく持続可能であること」と強調する。

プラウドシーズンの購入者は、東電EPとエネカリプラスを契約。初期費用無料で、契約期間の10年間にわたり太陽光発電設備で発電した電気を利用できる。さらに月額サービス料は野村不動産が負担し無料となっている。契約期間満了後、太陽光発電設備は無償で譲渡されることからオーナーは引き続き活用が可能だ。さらに、電気式給湯機「おひさまエコキュート」も併用できる。同給湯機は昼間の太陽光発電によりお湯を沸かす。太陽光発電で発電した電気を家のなかでより多く使え、自家消費が増えることで電気代・ガス代の上昇を抑えることが可能だ。また、災害時には継続して電気を使えるだけでなく、給湯器のタンクに溜まったお湯を生活用水として使うこともできる。

野村不動産は、住宅の省エネ化・低炭素化を進めたうえで、今後、再エネへのシフトをどのように進めていくかをテーマとしている。その一つの回答が今回の事業だといえよう。プラウドシーズンにエネカリプラスを採用することによる商品価値の向上だけでなく、発電所設置の場所を提供するという社会的な意義もある。
一方、東電EPは、契約期間10年間にわたり太陽光発電などの設備を維持・管理し、余剰電力を固定価格買取制度(FIT)を通じて電力会社に売電して利益を得る。もちろん、エネカリプラスの推進にも大きく役立つ。
もう一つ大きいのが、太陽光発電により発電した電力の環境価値化だ。東電EPは、プラウドシーズンのオーナーが自家消費した太陽光発電の環境価値をJ-クレジット制度を活用し、J-クレジット付電力として野村不動産に供給する。また、余剰電力の環境価値はトラッキング付FIT非化石化証書として調達、FIT非化石証書付電力として野村不動産に供給する。これはFIT証書の由来となる電源や所在地などの属性情報が付与された非化石化証書であり、プラウドシーズンの太陽光発電由来であることを特定した証書となる。野村不動産は環境価値を事業に活用できるわけだ。

まずは首都圏で展開
エリア拡大や戸建以外へも

バーチャルメガソーラーのスキーム

このスキームはプラウドシーズンのオーナーの持ち出しがほとんどないことが大きな魅力だ。初期費用無料はエネカリプラスの標準だが、機器の設置費用の改修などが含まれる月々の定額サービス料は野村不動産が負担する。同社では「事業全体のなかでコストを吸収しており、販売価格に大きな差はない。仕様アップ分だけ価格は上がるが、オーナーは光熱費が下がることで十分にペイできるレベル」(中村執行役員)と話す。東電EPによると、4LDK・4人家族の標準的な試算では、電気代とガス代が3割程度削減できるという。

野村不動産は、まずは新築への導入からスタートする考え。今夏の杉並区のプロジェクトを皮切りに順次、採用を広げていく。昨年のプラウドシーズンの供給実績は400棟であるが、住宅の向きや屋根形状により適さない物件もあることから、年300棟への設置を目標とする。また、プラウドシーズンは名古屋や大阪でも展開しているが、「首都圏で軌道に乗せる」(中村執行役員)ことを優先する。一方で、エリア拡大や戸建住宅以外への展開も視野に入れている。