住宅マネージャーとWAN-Signが連携

電子契約の作業を自動化、コスト削減や業務効率のアップを支援

KSKとワンビシアーカイブズがシステム連携を開始した。不動産売買・賃貸の契約手続きの電子化が全面解禁されたのを機に、基幹システム「住宅マネージャー」と電子契約・契約管理サービス「WAN-Sign(ワンサイン)」を連携させることで住宅事業者・不動産事業者に新たな価値を提供する。

住宅マネージャーとWAN-Signの連携

電子契約とは、これまでの紙+押印で署名・締結した契約に対し、電子データ(PDF)に電子印鑑+電子署名+認定タイムスタンプで署名・締結する契約のこと。契約書の管理も、従来の紙の契約書原本を保管することから、クラウド上で電子管理を行う形に変わる。

5月18日、宅地建物取引業法の改正が施行され、重要事項説明書、契約書の電子交付が解禁。不動産の売買・賃貸契約について、契約締結~重要事項説明・同説明書の交付や受け取り、契約書作成までの手続きが全面的に電子化できるようになった。

契約を電子化することのメリットとして大きいのはコストの削減。収入印紙が不要なためこれまで数万円かかっていた印紙税が不要になるほか、郵送費などの諸費用を削減できる。また、クラウド上で電子的に契約締結を行うため早ければ5分程度で締結が可能となり、業務の効率化も図れる。さらに紙の書類が不要になることから保管スペースが不要になるほか、書類の紛失や情報の漏洩といったリスクも回避できる。

住宅・不動産業界からのこの法改正に対する注目度は高く、「1年半前頃は漠然と〝便利そう〟という認識が多かったが、施行日が近づくにつれて業務フローについての問い合わせなど具体的な相談が増えている」(ワンビシアーカイブズ 営業本部・髙館雅人主事)と、引き合いが増えているという。住宅・不動産業界で加速するDX化の流れ、ユーザーの利便性を求めるニーズの高まりなどを背景に、電子契約は急速に広まっていくと考えられている。

認印版と実印版のハイブリッド締結も可能
高いセキュリティ性が特徴

「WAN−Sign」は、電力、通信、金融などの大手企業が導入している電子契約・契約管理サービス。他社システムにはない大きな特徴が署名・締結レベルの自由さだ。通常の電子契約システムは簡易なメール認証による認印版締結(事業者型/立会人型)もしくは、電子証明書による厳格な実印版締結(当事者型)のどちらかしか利用できない。「WAN−Sign」ではこの二つを利用することができ、二つを組み合わせたハイブリッド版締結も可能だ。ハイブリッド版締結は相手方のみメール認証で締結が可能なことから、相手がアカウント作成や費用の負担なく署名ができる。こうしたあらゆる契約内容にあわせた締結を行うことができる。また、電子契約・電子印鑑だけでなく書面契約の登録も可能で、既存契約も含めて一元管理することができ、既存の台帳をそのまま移行することも可能だ。

セキュリティに関しては、ISO/IEC27001(情報セキュリティマネジメント)認証やISO/IEC27017(クラウドサービスセキュリティ管理策)認証などを取得、フォルダによる閲覧制限、ワークフローの固定機能、IPアドレス制限など、金融機関・医療機関が求めるセキュリティを備えた内部統制機能を標準搭載し、脆弱性診断を定期的に行うなど、厳格な管理を実施している。さらに、自社所有の国産データセンターでサービス運営、データ保全体制を構築していることも大きなポイントだ。災害対策と高度なセキュリティに対応しており、国内法下でデータを管理できる。

データ連携で電子契約を意識せず自動で処理

「WAN−Sign」に魅力を感じ、連携を申し出たのがKSKだ。基幹システム「住宅マネージャー」を展開する同社は、他社とデータ連携を積極的に進め住宅マネージャーの機能を高めてきた。今回の連携もこうした取り組みの一環だ。

「住宅・不動産の契約は、住宅・不動産事業者と一般ユーザー、住宅・不動産事業者と法人ユーザーといった二者契約であることから、当事者型と立会人型のハイブリッドが可能なことが大きな魅力。加えてAPIを用意していることから連携しやすい」(KSK・山口靖 住宅ソリューション事業部ゼネラルマネージャー)と、「WAN−Sign」に白羽の矢を立てた理由を語る。さらに初期費用が低額で導入のハードルが低いこと、また、アライアンス先も含めたサポート体制が充実していることも大きな魅力であったという。

「住宅マネージャー」と「WAN−Sign」が連携することで、ユーザーは二重入力などの手間を省くことができる。例えば、データ連携していなければ、「住宅マネージャー」にログインして契約内容などを入力した後、あらためて「WAN−Sign」に別途ログインし、同様の内容を入力しなければならない。しかし、2つのシステムが連携することで電子契約を意識することなく作業を自動化できる。具体的には、「住宅マネージャー」に入力すればシステム内で「WAN−Sign」を通じて相手先に連絡が行き、確認後に返却されると、自動で「住宅マネージャー」に契約済の契約書が戻ってくる。ユーザーは表面上は「WAN−Sign」の存在に気付かないまま電子契約ができるのである。

今後、KSKは、連携オプションとして「WAN−Sign」を提案、また、ワンビシアーカイブズはユーザーに対して「住宅マネージャー」を紹介するなど、両社それぞれのユーザーに対して連携システムの提案や連携先システムの紹介を行うなどクロスマーケティングを進める考え。また、連携システムを導入した事例を早期につくり、それぞれのセミナーや説明会などで紹介していく。

「WAN−Sign」は、紙の契約書をスキャンし電子契約とあわせて保管・検索管理ができ、登録した原本を同社が引き取り電子化作業を行っていることから、「将来的には既存の契約書などの紙の書類をデジタルデータ化し、ユーザーのDX化をさらに進める提案にもつなげられる」(KSK・山口ゼネラルマネージャー)と、「WAN−Sign」を「住宅マネージャー」のユーザーに推奨していきたい考えだ。

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