2022.4.1

積水ハウス、戸建住宅の高付加価値戦略が奏功

計画上回り営業利益2301億円

積水ハウスは、2021年度の決算を発表した。戸建住宅の高付加価値戦略などが奏功し、ウッドショックなどの資材高騰のマイナスの影響を吸収して増収増益を達成した。コアビジネスの更なる深化と、新規事業の挑戦を進める。


2021年度(2022年1月期)の決算は、国内外の戸建事業・賃貸住宅事業が好調に推移し、売上高は2兆5895億円(前期比5.8%増)、営業利益は2301億円(同23.4%増)となった。3カ年の「第5次中期経営計画」の2年目となるが、売上高、営業利益共に2020年3月当時の計画を、それぞれ115億円、201億円上回った。3カ年合計の修正計画においても、営業利益は、当初計画の6360億円を上回る6526億円と設定した。

2021年度の実績をセグメント別に見ると、主力の戸建事業の売上高は、3527億3200万円(同9.1%増)、営業利益は424億7500万円(同31.8%増)となった。

2050年までの第3フェーズにおいて、3つのビジョンの一つに位置付ける「ハード・ソフト・サービスを融合し幸せを提案」する取り組み、高付加価値戦略が奏功した。仲井嘉浩社長は、「2018年に発足した『住生活研究所』の研究成果を元に、自宅時間の充実を実現する大空間『ファミリースイート』を発売したことが大きなターニングポイントになった。リビングで家族がそれぞれ好きなことをやりながら適度な距離を保つことができる。『ファミリースイート』は、大スパンを飛ばせる『フレキシブルβシステム』という技術があってこそ実現できるもの。採用率は戸建住宅全体の6割に達している」と説明する。

その後も、ハード、ソフト、サービスの高付加価値提案を強化する。特に反響が大きかったのは、2020年12月に発売した次世代室内環境システム「SMART‐ECS」。室内の温度変化を抑えながら、換気・空気清浄し、黄砂や花粉、PM2.5など外気中の汚染物質を除去する空気清浄機能を備えている。採用率は90%に上る。さらに、2021年12月、同社が進める「プラットフォームハウス構想」の一環として、スマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」を発売。自宅の間取り情報が入ったアプリで、外出先からスマートフォンなどで家の状態を確認できるサービスの提供を開始した。2022年1月時点で採用率は約5割。今後、さらに「プラットフォームハウス」の開発を進め、住まい手の急性疾患などを早期に発見するサービスの提供などを目指す。こうした高付加価値戦略が奏功して、2021年度の戸建住宅の1棟単価は、前年度比127万円上昇し、4265万円となった。

2021年度は、ウッドショックの影響を受け約70億円のコスト増となったが、そのマイナスの影響を吸収して、戸建住宅の営業利益率12%を達成した。2022年度も鉄鋼を中心に資材高騰は続いており約130億円のコストアップを見込む。2020年度の戸建住宅事業の業績予想は、売上高3680億円、営業利益435億円。資材高騰のコスト増を吸収しきれず、営業利益率は11.8%とわずかに下降する見込み。

「シャーメゾンZEH」は目標を大きく上回る8501戸

賃貸住宅事業の売上高は、3840億2200万円(同7.0%増)、営業利益は560億4700万円(同19.1%増)となった。賃貸住宅のZEHをシャーメゾンブランドで展開。エシカルな住まいの選択肢として好評で、2021年度目標1800戸に対して8501戸を達成した。また、築20年~30年のシャーメゾンを性能向上、また、3LDKから1LDKに、といった間取り変更を含め、リノベーションを施す「シャーメゾンリノベーション」の提案も強化。「高付加価値化により家賃の上昇が見込め、利回りの回収もきっちり行える。良質なストックを維持し、増やしていくという意味でも強化していきたい」考えだ。

リフォーム事業の売上高は、1561億6700万円(同10.7%増)、営業利益は255億4600万円(同24.7%増)となった。
「ファミリースイート リノベーション」などの提案型リフォーム、リビングを中心とした生活空間の範囲に絞って断熱改修などを行う「いどころ暖熱」や創エネリフォームなどの環境型リフォームが好評で、1棟単価500万円以上の大規模リフォームの受注割合が拡大した。「リフォーム受注全体の38.5%が大規模リフォームとなっている。大規模リフォームが大半を占めるように、提案を強化していく」考えだ。また、リフォーム案件においても新築戸建住宅で好評の次世代室内環境システムを導入する「スマート イクス リノベーション」を12月から販売を開始した。

2025年、海外で1000戸へ
アメリカ全土に水平展開

国際事業の売上高は、3889億3600万円(同4.9%増)、営業利益は501億4700万円(同26.3%増)となった。
アメリカでは、過去最低水準の住宅ローン金利の追い風もあり、南西部に拠点を置くWoodside Homes社の住宅販売事業が引き続き好調に推移した。同社は、2025年に海外全体で1000戸の住宅供給を目指す。仲井社長は、「2021年にアメリカ、北西部に拠点を置くHolt社のM&Aに成功し、4000戸が見えてきた。さらに現在、南部のビルダーとM&Aの折衝を重ねており、パートナー企業を増やすことができれば、5000戸、6000戸、7000戸という数字が見えてくる。アメリカ全土の有望なエリアに水平展開していきたい」と話す。さらに、従来の2×4工法に加えて、木造住宅シャーウッドの全米展開も見据える。同社が培ってきた住宅生産のテクノロジーの移植を図り、住まいの価値向上に貢献していきたい考えだ。