2021.12.3

積水化学工業 環境貢献製品、2030年度に8割目指す

ZEHの拡販などに注力

積水化学工業は供給する製品のうち、環境貢献度の高いものを8割に高める。住宅分野ではZEHの拡販などに注力。将来的には新型太陽電池の供給も目指す。


環境貢献商品の拡大に積極的な姿勢を見せる加藤敬太社長

積水化学工業は昨年5月に2030年度までの長期ビジョン「Vision 2030」を策定。2030年度までにグループ全体で売上高2兆円、営業利益率10%以上を目指す方針を示した。住宅分野では売上高を2019年度比1.5倍となる7500億~8500億円、ライフサイエンス分野では同3倍の2000億~2500億円、アドバンストライフライン(社会インフラ)分野では同1.5倍となる5000億~5500億円、イノベーティブブモビリティ(エレクトロニクス/移動体)分野では2倍の4500億~5000億円を目指す方針だ。

いずれの分野でも高い目標を掲げているが、社会的に関心の高まる“環境”を軸に成長し、目標達成を目指す。同社では2006年度から、環境に配慮した自社製品を独自に社内で認定・登録する制度を運用しており、2020年度には従来の認定条件に加え、持続経営力と収益性の評価項目を追加して「サステナビリティ貢献製品」として進化させた。全製品に占める割合は2020年度で60.6%だが、2030年度には80%まで高める。

また、サステナビリティ貢献製品のなかで特に収益力向上のために戦略的に拡大させていく製品として「プレミアム枠」を設定しているが、同枠の製品の売上高を2020年度の3290億円から2022年度に4400億円に高める方針だ。住宅分野におけるプレミアム枠の商品はZEHで、加藤敬太社長は「今後、その拡大に特に力を入れていきたい」と話す。2020年度、同社が供給した住宅に占めるZEHの割合は85%で、2021年度は90%を目指す。

さらに、ZEHには環境貢献度が高い順に、「ZEH」、Nearly ZEH、ZEH Orientedの3種類があるが、同社では、業界に先駆けて大容量の太陽光発電システムを積極的に提案した結果、ZEHの中でも環境貢献度が最高ランクの「ZEH」が92.5%と大半を占める。「この点が弊社の強みであり、これまで以上に普及に力を入れる」(住宅カンパニーの神吉利幸プレジデント)としている。

今年10月に発売した住宅新商品「新スマートパワーステーションFR GREENMODEL」

これに向け、10月、住宅新商品「新スマートパワーステーションFR GREENMODEL」を開発。大容量蓄電池などを導入することで、太陽光発電で発電した電力の自家消費率を従来の66%から73%に高めた。今後、年間1600棟を目標に同商品の拡販を図ることで、「ZEH」率をさらに高めていきたい考えだ。

一方で、今後のプレミアム枠製品となり得る商品として、ペロブスカイト太陽電池の開発を進めている。薄く、軽量で、曲げることもできるため、「住宅の壁や窓などへの設置も十分考えられる」(加藤社長)とし、これまで設置できなかった部位への導入も視野に入れている。2025年の事業化を目指し、開発を加速させる考えだ。

※本文中の神吉利幸プレジデントの吉の漢字は正しくは土に口です