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2021.11.30

広島建設、2×4分譲住宅事業が好調 前年比2倍の150棟超

国産材、リサイクル木材の利用で競争力強化

広島建設は2×4工法の分譲住宅事業を強化する。2021年度の引渡し実績は前年度比約2倍の150棟超に。ウッドショックで木材が不足する中、従来から進めてきた国産材活用の取り組みにより木材を安定確保できたことが背景にある。


広島建設が販売する2×4分譲住宅のイメージ

広島建設(島田秀貴代表取締役、千葉県柏市)は、千葉県の東葛、京葉エリア、埼玉県、茨城県の一部エリアで「セナリオハウス」、東京都では「東京ノイエ」のブランドで、在来軸組工法の注文住宅を主軸に事業を展開。年間約700棟、延べ1万棟超の施工実績を持つ。また近年、強化しているのが2×4工法の分譲住宅事業だ。土地の選定から企画、造成、販売計画、プラン作成、建築、販売、アフターサービスまで自社一貫で対応する。同社の取締役 西田武史 生産管理部 部長は、「もともと在来工法の注文住宅に強みを持つため、分譲住宅も在来工法で展開するという選択肢もあったが、分譲住宅については、2×4工法にこだわり、在来工法の注文住宅とは別路線で強化している。規格化が進む2×4工法は、仕口加工などの複雑な加工はなく、現場の状況により現場組みと工場でパネル化したものを納品するパネル工法を選択でき、コストを抑えて高性能、高品質な住宅を実現しやすい」と話す。

2020年度の分譲住宅の引渡し実績は77棟であったのに対して、2021年度は約2倍増の150棟超になる見通し。千葉県の東葛、京葉エリアの人気に加えて、コロナ禍により、都心から郊外へ、住まいを求めるニーズの高まりも相まって、「販売を開始すれば、着工前から売れていく」状態だ。

10年以上前から国産材活用
ウッドショックでも木材安定確保

同社は伐採期を迎える森林資源の有効活用の観点から2×4工法の分譲住宅において国産材化に取り組む。2×4コンポーネント事業を展開するウイング(倉田俊行社長、東京都千代田区)が2×4国産材を供給。広島建設が展開する2×4工法の分譲住宅では、縦枠材(スタッド)、上下枠材のすべてに国産スギの製材などを使用している。将来的には、横架材なども含めて、オール国産材化も視野に入れている。「木を伐り、使い、植えるという循環利用を推進していかなければ、伐採期を迎える森林資源を無駄にするだけでなく、森林の荒廃にもつながっていく。地域に根付く住宅事業者の使命として、国産材利用には今後も積極的に取り組んでいきたい」(西田取締役)。また、国産材を積極的に活用し、SPF材への依存度を減らすことで、外的要因に左右されにくい木材確保の体制を構築するという目的もある。

実際に、今回のウッドショックの影響で木材価格は高騰し、手に入りにくい状況が続く中で、従来から国産材活用を進めてきたことが、木材を安定確保する上で功を奏した。同社の生産管理部 分譲工事グループの山﨑潤也課長は、「ウッドショックの影響で、製材工場やコンポーネント工場から、新規の顧客には対応できないと断られるケースが増える中で、長年、国産材を活用してきたことが奏功し、建築棟数が前年度に比べ倍増しているにもかかわらず、ウイングさんから安定的に木材を供給してもらい、販売を伸ばすことができている」と話す。

リサイクル木材の有効活用で
価格高騰に対応 SDGsに合致

長年の国産材活用の取り組みが奏功し、同社は木材を安定確保できているが、市場全体では、SPF材、国産材に関わらず、価格が高騰し、手に入りにくい状況は続いている。これまで以上に、限られた木材をいかに無駄なく、有効活用できるかが問われている。

左から、広島建設の西田武史取締役、ウイングの福澤政人係長、広島建設の山﨑潤也課長

もともと同社は、2×4工法の分譲住宅において、市場に流通する基本的な長さ、太さの木材を使用する、シンプルな設計プランを作ることで、材積、コストをできるだけ抑えられるように工夫してきた。「市場で手に入りにくい、長さ、太さの木材を多用すれば、設計プラン自体がメタボ化し、コストアップにつながりやすい。対して、広島建設さんのように、市場に流通する基本的な長さ太さの木材を使用することで、設計プランをスリム化し、コストも抑制しやすくなる」(ウイング 首都圏事業部 営業部 第一営業課 福澤政人 係長)。

直近ではリサイクル木材の活用もスタートした。リサイクル木材とは、2×4コンポーネント工場などで発生した未利用木材端材を組み合わせ、フィンガージョイントなどで継ぎ合わせて、建築資材として再利用できるようにしたもの。リサイクルされる過程で発生する細かな木質材料についても、パーティクルボードや製紙燃料用チップなどに再生され、完全リサイクルされる。

耐力壁としてカウントされない造作壁に、リサイクル木材を使用する

ウイングが、木材のリサイクル事業を行うミツワハウステック(栃木県佐野市)に未利用木材を販売し、生まれ変わったリサイクル木材をウイングが買い取る。広島建設では、このリサイクル木材を、2×4工法の分譲住宅の造作壁に使用する。造作壁は耐力壁としてカウントされないため、JAS製材ではない、リサイクル木材を利用して作ることができる。リサイクル木材を利用することで、コスト抑制につながる。また、造作壁も含めて、JAS製材で対応しようとすれば、木材を安定確保することが難しくなるが、耐力壁にはJAS製材、造作壁にはリサイクル木材を、適材適所に使い分けることで、木材を安定確保しやすくなる。「木材をリサイクルして、無駄なく使い切ることは、環境負荷の低減、SDGsの考え方にも合致する」(西田取締役)。

現在、広島建設では、ウイングなどが、大径木化するスギの有効活用の一環として開発した「剛性床構造(Union Frame)」の導入の検討を進めている。2×6材を床の構成部材として有効に配置して使用することで、省力化、工期短縮、材積低減によるコスト削減効果などが期待できる。

今後は、オール国産材化を目指し、2×4工法の分譲住宅の強みに磨きをかけていく考えだ。

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ハウジング・トリビューンVol.634(2022年2号)

特集:

進化する「wallstat」が木造住宅づくりを変える

地震大国といわれる日本において、住宅の地震対策は欠かすことができない。また、遠くない将来に必ず起こるといわれる南海トラフ地震と首都直下型地震などの巨大地震に備え、住宅には、より高いレベルの耐震性能が求められている。こうした中で近年、存在感を高めているのが、木造住宅の耐震シミュレーションソフト「wallstat(ウォールスタット)」だ。木造住宅を3次元的にモデル化し、過去に起きた地震や想定される巨大地震など様々な地震動のデータを入力することで、木造住宅の地震による揺れを動画で解析し構造プランを強化できる。

耐震性能の可視化により、エンドユーザーに対しても説得力を持って高耐震住宅の重要性をアピールしやすくなるため、wallstatを活用して、建てる前に住宅を揺らし、壊し、シミュレーションを行い、より耐震性の高い、安全性を高めた住まいを実現し、普及を目指す住宅事業者も増えてきている。

2022年1月には、wallstatのバージョンアップにより、耐震シミュレーション機能が強化された。ユーザーの声を反映し、計算時間を約2分と、従来の10分の1に短縮。より使いやすいものへと進化している。wallstatで耐震シミュレーションをすることがあたり前という時代になっていきそうだ。

併せてwallstatに組み込みシミュレーションできる建材、連携できるソフトウェアも紹介する。

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