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カーポート 高付加価値化で住まいの魅力を向上

デザインから、防災力向上、空間の有効活用、創エネまで

愛車を守るアイテムとして必須のカーポート。
ここにきてデザイン面はもとより、性能面、機能面においても著しく進化している。
近年、頻発する豪雨や大型台風、さらに豪雪などの自然災害に備え、防災力を高めたものから、カースペース、玄関までのアプローチなどを有効活用するものや、太陽光パネルの搭載により創エネ機能を付加するものまで、商品提案が活発化。
住宅の価値を高めるアイテムとしても重要度が増してきている。


住宅に調和するデザインを追求
木調色との組み合わせが人気

住宅デザインが多様化する中で、各社が力を入れるのが、その住宅外観に調和するカーポートのデザインだ。

LIXIL は、「カーポートSC」のラインアップを拡充。要望の多かった木調色3色を追加した

LIXILは2017年10月、シンプルな美しさを追求し、住宅と美しく調和する「カーポート SC」を発売した。屋根そのものを構造材とする、”中骨レス”という新しい発想のカーポートで、屋根と柱のみの最小限の構成で、既存のカーポートにはない”すっきり感”を実現し、さまざまな住宅に美しく調和する。

屋根部にはすべてアルミを採用しており、強度を確保しながら、わずか40mmという薄さを実現した。また、雨樋を屋根・柱に内蔵し、雨樋としての機能はそのままに凹凸を削ぎ落とすことで、従来のカーポートとは一線を画す、よりすっきりとしたフォルムを実現。こうしたデザインへのこだわりが、2017年のグッドデザインのベスト100に選出されるなど、国内外のデザイン賞で高く評価されている。

2021年4月には、「カーポート SC」のラインアップを拡充。これまで要望の多かった木調色を、新たに3色(クリエモカ、チェリーウッド、オーク)を追加した。柱や梁、屋根などの形材には、木調色と相性の良いブラック色を設定し、高級感あふれる上質な空間を演出する。「『カーポートSC 木調色』は発売初日で月の計画を達成するほど爆発的に売れていて、その後も計画を超える勢い。玄関ドアや周辺の商材、フェンスなどとのカラーコーディネートがしやすくなったことも好評をいただいている」(同社)。

デザイン面で独自路線を走るのは三協立山・三協アルミ社だ。2020年3月、独自の3次元アルミプレートトラス構造を採用したカーポートを強化し、「M.シェードⅡ」として販売を開始した。同社は2006年にM.シェードの販売を開始。美しさと機能性を兼ね備え、迫力あるファサード空間を演出する唯一無二のカーポートとして高い人気を誇り、指名買いされることが多いという。新しく投入した「M.シェードⅡ」には、トラス屋根の魅力を最大限に引き出す「上吊りタイプ」と、フレームのデザインや雨どいなどのディティールまで追求した「梁置きタイプ」をラインアップ。販売は大きく伸長しており、中高級アルミ市場のシェア獲得をけん引。同社は中高級アルミカーポート市場で約3割のシェアを持つ。

また、同社は、「住宅との一体感も重視される傾向があり、シンプルで住宅の水平ラインとマッチするデザインが求められている」ことから、2021年3月、高意匠と高強度を兼ね備えたカーポート&マルチルーフ「ビームス」を発売した。折板の谷間に600mm間隔で垂木を配置することで、梁のないすっきりとした天井空間を実現。2台用で梁なし折板カーポートは業界初となる。ボルトも見せず、柱と雨樋を一体化し、勾配のない水平ラインが美しいスマートなカーポートに仕上げた。スタンダードタイプに加え、フラットな意匠にこだわった天井材付きのプレミアムタイプも用意。プレミアムタイプは、マットな質感の天井材で、強度のあるアルミ形材の金属感を残しつつも落ち着いた色合いが上質な空間を演出する。

防災力向上は待ったなし
耐風圧性能、耐積雪性能は必須に

近年、豪雨や大型台風、さらに豪雪などの自然災害により、カーポートが破損する事故なども起きており、対応は待ったなしだ。メーカー各社の担当者は、「台風の大型化に伴い、カーポートの耐風圧強度は最も注目されている」、「近年の大型台風や猛暑などの異常気象が恒常化する中で、風や雪に対する高強度対応や、遮熱、紫外線カットなどの対応が求められている」、「カーポートに対して『現状の台風性能では不安』、『コストパフォーマンスが良いもので、強風に備えたい』といった声が強まっている」と話す。

こうした中でLIXILは2021年4月、シンプルで直線的な機能美にこだわりながらも、”強風や雪から暮らしを守る”というタフな性能を追求した折板カーポート「カーポートSW」、「カーポートST」を発売した。

「カーポートSW」には、昨今の台風の大型化による強風対策として安心して使用できるように、業界最高水準の46m/秒相当の耐風圧強度を持たせた。

「カーポートST」には、この耐風圧強度に加え、最大200㎝相当の大雪にも耐える業界最高水準の耐積雪強度を付与。豪雪地域に対応する。積雪量は地域によってさまざまで、カーポートに求められる強度も均一でない。そこで地域ごとのニーズに応えるために、「カーポートST」には、積雪100㎝、積雪150㎝、積雪200㎝の強度別に3タイプを用意した。

YKK AP のカーポート商品の中で最も高い性能である耐風圧強度62m/ 秒相当を実現した「レオンポートneo GR」

YKK APは2020年10月、耐風や耐積雪の性能、意匠性、機能性を併せ持つカーポート「レオンポートneo」に、新たにGRと、smartをラインアップした。

「レオンポートneo GR」では、柱本数を従来商品の2列から3列へ1列を増やすと共に、梁の本数を増やしアルミ肉厚を厚くし、強度を向上。また、強風によって破損の恐れがある鼻隠し(屋根材の板材)部分に専用の補強部品を追加することで、同社のカーポート商品では最も高い性能である耐風圧強度62m/秒相当を実現した。また、耐積雪性能100㎝も確保。近年の異常気象により、どのエリアでも起こりうる大雪への対応として、安心の備えを両立できる。

さらに、「レオンポートneo GR」の関連商品として、「レオンポートneo Smart」もラインアップ。従来のレオンポートneoと同等の、耐風圧強度 46m/秒相当を実現した、雪の少ない強風地域に最適な商品となる。

台風が多い地域において、「強風等への耐風対策はしたいが、耐積雪性能はそれほど必要ない」というニーズに対応した商品で、耐風圧強度を確保した。

また、従来のレオンポート neoの耐積雪性能を50㎝から30㎝とすることで、より求めやすい価格帯の商品となっている。

三協立山 三協アルミ社の「ビームス」。カースペースだけでなく、マルチルーフとしても新たな価値提案を強化する

三協立山 三協アルミ社のカーポート&マルチルーフ「ビームス」には、丈夫な骨組み構造と屋根材(スチール折板)で構成することで、優れた耐風圧性能を持たせた。強風地域にも設置が可能な耐風圧強度:風速50m/秒相当(N型・2台用)を実現し、近年の台風の大型化や上陸・接近数の増加などに対応する。また、間口3000mmの1台用は、耐風圧強度:風速56m/秒相当(N型)、耐積雪量約100cm相当を実現。積雪地域にも設置可能だ。

敷地対応力で差別化
カースペースを有効活用する提案も

カーポートの差別化を図るうえで、さまざまな敷地条件に納める敷地対応力の強化にも各社は取り組んでいる。

LIXILの折板カーポート「カーポートSW」、「カーポートST」は、梁や屋根の延長、連結も可能なため、カースペースを十二分に生かすことができる。屋根を延長して玄関アプローチと一体化するといった使い方ができ、折板カーポートならではの直線的で骨太なデザインが、ファサード空間を立体的に演出する。

三協立山 三協アルミ社の「M.シェードⅡ」の「梁置きタイプ」には、従来の10mからさらに2m延長した業界最長の開口12mのフレームを設定。敷地幅いっぱいにフレームを設置できるため、駐車スペースから玄関アプローチまで、迫力あるファサード空間の演出が可能になる。

また、同社のカーポート&マルチルーフ「ビームス」は、梁がない桁置き構造のため、柱を1本ずつ単独で移動させることができ、さまざまな敷地に柔軟に対応する。さらに、遮熱、紫外線カットなどの対応策として、スチール折板の屋根材を採用。太陽光下での高い遮熱効果を発揮し、夏の暑い日でも車内温度の上昇を抑える。こうした特長を生かして、同社は、マルチルーフとしての活用提案も強化する。「屋根の下を趣味の空間や真夏の避暑空間に変えられるほか、集合住宅のサイクルポートやアプローチ通路など、さまざまなシーンで利用できる。マルチルーフとしても新たな価値提案をしていきたい」(同社)。

森田アルミ工業のカーポートとバルコニーを一体化させた「Flange Port(フランジポート)」。全体ですっきりと美しく見えるようにデザイン

森田アルミ工業は、カーポートとバルコニーを一体化させた「Flange Port(フランジポート)」で、カーポートの上の空間を有効活用する提案を強化する。同社は、アルミの加工技術を生かして、バルコニーなどのウォールエクステリアを中心に、オーダー製品の製造で豊富な実績を持つ。「大手メーカーが対応できないニッチな部分を補うことができる」(同社)。Flange Portの開発のきっかけも顧客からの「雨が漏らない独立バルコニーが欲しい」という要望だった。顧客の中に、独立バルコニーの下を有効活用して車庫として使用する人がいたが、雨が漏るため使い勝手が良くなかった。それは当然で、独立バルコニーは屋根ではないため、雨が降れば、どうしても少量の雨水が下に漏ることになる。とはいえ、バルコニーの下に屋根を設置すれば、見栄えが悪くなる。そこで、全体ですっきりと美しく見えるようにデザインし直し、Flange Portを製品化した。

H形鋼の形に加工したアルミ押出型材(アルマイト仕上)をフレームとして採用し、工業製品らしいシャープなイメージを前面に打ち出した。そのフレームの中に、厚さ0・5mmの頑丈なスチール製ルーフ(屋根)や床材などを納め、外からはほとんど見えないように工夫。また、極力ボルトなどが見えない納まりにして、デザイン性を高めた。奥行きは最大6mまで製作可能で、1mm単位でオーダー対応が可能。また、間口方向のサイズも最大5・96mで、200mm単位で調整できる。同社や協力施工店のスタッフが現場を見て採寸し設計を行う。その設計情報を基に、正確に工場で製造したものを現場に納めるため、現場では組み立てるだけで工期短縮にも寄与する。

手摺部分は標準の格子タイプを用意した。特注のアクリル持ち出しや格子パネルなどに変更することも可能だ。床材についても、プラスチック製のデッキを標準で設定。再生プラスチックを使用した木樹脂のデッキ材などにも変更できる。「庭を少し広くしたい、狭小地でも洗濯物を干すスペースがほしい、バーベキューを楽しむ空間がほしいなど、さまざまなニーズがあり、10年前の発売から安定的に需要がある。間口方向にもっと幅の広いものが欲しいといった要望があるため、連棟で設置できるようにするなど、特注対応の範囲を広げられるように開発を進めている」(同社)。

太陽光パネルで創エネ機能をプラス
脱炭素化が強力な追い風に

国が2050年の脱炭素化を打ち出して以降、住宅の省エネ化が大きく動き出すのを追い風に、太陽光パネルを搭載したカーポートの提案も活発化してきている。住宅の屋根に太陽光パネルを設置するよりも、より手軽に導入できるため、年間を通じて日射取得が見込めるといった条件がクリアできれば、太陽光パネルを搭載したカーポートで創エネ機能を付加する選択肢は、今後さらに広がっていきそうだ。

販売好調な、日栄インテックの次世代ソーラー付きカーポート「E‐PORT V」

太陽光発電金具・架台の専門メーカー、日栄インテックは2016年から、住宅向けのソーラー付きカーポートの販売を開始。ソーラー付カーポート市場で国内トップのシェアを持つ。同社によると、戸建て向けのソーラー付きカーポート市場に大きな転換があったのは、やはり、太陽光発電の固定価格買取期間満了「卒FIT」がスタートした19年11月からだという。それ以前は、高値で買取価格が設定されていたため、太陽光発電市場の主戦場は、大規模な産業用の、いわゆる「野立て」と言われる分野で、戸建向けのソーラーパネル市場との比率は、8対2ほどで、圧倒的に野立て市場が大きかった。

戸建向けのソーラー付きカーポートも売れてはいたが、郊外の大きな面積のある住宅に、売電目的で、あえて3台、4台と車を停められるものを設置するケースが多かった。

19年11月から、卒FITがスタートし、買取価格が徐々に低下していく中で、同社は、戸建向けの次世代ソーラー付きカーポート「E‐PORT V」を開発し、自家消費を目的としたカーポートの提案にシフトする。E‐PORT Vでは、構造を見直すことで、材料費を従来品よりも約3割削減することに成功。また、人気のカラーのアルミ形材を採用し意匠性の向上を図った。さらに、両面発電パネルを採用し、裏面からも発電する機能を持たせた。加えて、両面ガラス仕様パネルで屋根材(不燃材)であるため、パネルのみの設置で済む。こうした強みが支持されて販売は好調だ。今や、同社における、野立てと戸建のソーラーパネルの販売シェアは逆転し、戸建が8割、野立てが2割という状況だ。

2050年の脱炭素化に向けた国の支援策もソーラー付きカーポート設置に対する強力な追い風となっている。環境省は2021年5月から補助事業を開始した。「令和3年度二酸化炭素排出抑制対策補助金」で、“建物屋上や空地以外”の場所を活用したソーラーカーポート(太陽光発電搭載カーポートまたは太陽光一体型カーポート)などの自家消費型の太陽光発電や蓄電池の導入支援を行う。法人も個人も補助対象となっており、設備導入費の3分の1の補助金が受けられる。「年間30万台とも言われるカーポート市場全体のうち、ソーラー付きカーポートのシェアは数%だが、近い将来、1割程度まで普及していくのではないか」(同社)とみる。

集合住宅向けのアルミ手摺・笠木を主力にする建材メーカー、サンレールは、2021年、軽くて丈夫なアルミフレームを使用し、優れた耐風圧性能、耐積雪性能を付与した太陽発電カーポート「サンレールポート」を発売した。「環境省の補助金がスタートしたこともあり、民間事業者からの問い合わせ・引き合いが増えている。環境意識や、ソーラーカーポートの認知度の高まりにより、個人住宅での採用が増えることを期待している」(同社)。

変化する時代の要請に対応して著しく進化するカーポート。愛車を守るためのアイテムとしてだけではなく、住宅の価値を高める必須アイテムとして、今後さらにカーポート市場は盛り上がっていきそうだ。

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ハウジング・トリビューンVol.631(2021年22号)

特集:

2030年住宅への設置率6割は可能か
初期費用、条件不利地域へのソリューション

国は2030年に住宅での太陽光発電の設置率6割を目標とする考えを示した。
現状の設置率は1~2割とみられ、非常に高い目標と言える。
100万円以上を必要とする「高額な初期費用」や、十分な発電効率を得るのが難しい「条件不利地域」といった課題があるなか、住宅事業者は設置率6割に向けてどのように取り組んでいけば良いのか──。
住宅太陽光発電マーケットの最前線を追う。

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