2021.6.11

大建工業、ふく射冷暖房の心地よさを体感

東京・台東区にショールーム開設

大建工業は全空気式ふく射冷暖房システム「ユカリラ」の心地よさを体感できるショールームを東京・台東区に開設した。住宅や教育施設、高齢者施設などへの提案を強化し、2025年度に100億円の売り上げ達成を目指す。


大建工業は2016年にスタートした2025年度までの長期経営ビジョン「GP25」の中で、事業領域の拡大と新市場への取り組みを強化することを掲げる。その一環として取り組むのが、室内の空気質や温熱環境などの基礎研究をベースに、快適空間の普及に向けた新たな事業。2018年から全空気式床ふく射冷暖房システム「ユカリラ」を試験的に全国で販売している。

ユカリラ体感ショールームの様子

ユカリラとは、エアコンの風を床下に送り込み、ふく射による冷暖房を実現するシステム。エアコンの風を、ダクトを通して床下のパネルに送り込み、床からの“ふく射”により、心地よい空間を生み出す。気流が直接人に当たらないため、肌表面から水分を奪いにくく、ホコリも巻き上げにくい。また、一般的なエアコンでは上下方向や場所による温度ムラが発生するのに対して、ユカリラは、上下方向での温度差はわずか2℃に抑えられ、広い空間でも温度ムラなく効率的に室温調整ができる。

スケルトン構造によりシステムの内部を確認できる

ユカリラは、空気が流れる溝パネル、熱を伝える金属板、専用のダクトなどで構成するシステムで、住宅から、集合住宅、オフィス、倉庫、体育館など、さまざまな用途、規模の建物に対応できる製品ラインアップを用意している。

20年4月には、ユカリラの販売を専門に行う「快適空間部」を設置し、さらに21年4月、顧客との接点強化を目的として東京・台東区に「ユカリラ体感ショールーム」を開設した。ショールームには、体感室を2部屋設け、時期ごとにそれぞれの体感ルームの設定温度を切り替え、暖かい部屋と涼しい部屋をそれぞれ体感できるようにした。また、床やダクトスペースの一部をスケルトン構造とし、システム構造の内部も確認できるように工夫している。

快適空間部の小嶋智幸部長は「2018年から、ユカリラの販売を開始したが、住宅をはじめ、病院や教育施設、高齢者施設、オフィスビルなどで採用実績も増えてきている。新設したショールームを、ユカリラの内部構造や快適性を理解していただくための営業拠点として活用し、更なる提案力の強化を図っていきたい」と話す。

設置コストの目安は一般的な住宅で約300万円、幼稚園などでは約1200万円となる。快適空間部をスタートした20年4月から1年で、販売実績は2.5倍に拡大している。快適空間部の新設、またショールームの開設で、さらに販売を強化し、25年度に販売目標として100億円達成を目指す。