2021.6.8

LIXIL、持続的な企業価値向上へ ESG方針を明確化

専門性を生かして社会課題を解決

LIXILは、ESG説明会を開催し、ESGの取り組みを開示した。専門性を生かし社会課題を解決し、ステークホルダーや社会に対して事業を通じて価値を創造することで、持続的な企業価値向上へつなげていきたい考えだ。

「ESG」とは、環境、社会、企業統治のこと。国連は2006年、投資家に対して、企業の環境や社会に対する取り組みや、その貢献度、インパクトなども考慮しながら投資を行うことを呼びかけた。近年、ESGに注目して投資した方が、経済的リターンが大きいケースがあることが分かってきたため、純粋に財務的リターンだけを重視していた投資家たちも、ESG投資に関心を向け始めている。企業が持続的価値の向上を図っていくためには、ESGに対する考え方を明確化し、実践し、ステークホルダーや社会に対して価値を創造していくことが重要になってきている。
従業員が価値創造の原動力

こうした中で、LIXILはESG説明会を開催し、ESG方針、また、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向け対処すべき重要課題(マテリアル・イシュー)などについて説明した。

瀬戸欣哉社長は、LIXILの価値創造プロセスは、LIXILのパーパスである「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」を起点として、人材や営業基盤などの「LIXILの資本」、従業員が中心となり実践する「LIXILの価値創造への取り組み」、事業活動を通じて「LIXILが生み出す価値」の四つのステップで構成すると説明。

「LIXIL の価値創造の原動力は、従業員であると考えている。実際に戦略を実行する従業員が、より目的志向で、ステークホルダーに対して価値を生み出すことに対し、素早く柔軟に対応できるようになっていくことによって、自律的に私たちの戦略を実行できるようになる。全従業員がこうした働き方をすることで、LIXILはステークホルダーに価値を生み出し、『世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現』という当社のパーパスを達成することができる。これが LIXILの価値創造プロセス」と述べた。

「衛生問題の課題の解決」など
3つの領域を優先重要課題に

また、同社は、最新のビジネスリスクと機会に対処するため、重要課題を定期的に見直しており、2021年3月に更新。特に「グローバルな衛生課題の解決」、「水の保全と環境問題」、「多様性の尊重」の3つ領域を、LIXILの専門性を生かすことで、社会課題の解決に貢献できる、優先最重要課題として設定した。

開発途上国の衛生環境の改善に貢献する、簡易式システムトイレ「SATO」

「グローバルな衛生課題の解決」を行う取り組みをけん引しているのが、SATOのソーシャルビジネスだ。SATO事業部は、水道が整備されていない農村地域や都市の周辺向けに、低価格で設置が容易で、安全な衛生ソリューションを開発、商品化している。開発途上国向け簡易式トイレシステムは、設置が容易で、水洗トイレに比べて最大80%の節水が可能。また、新型コロナウイルスの感染予防対策として、手ごろな価格の、どこでも利用できる手洗いステーションも開発した。グローバルな衛生環境の改善に貢献するという目標達成のために、多国間組織や二国間組織、NGO、非営利団体、民間企業、各地の製造業者、流通業者、小売業者、地域団体など、さまざまなパートナーや関連団体と協働し、協力体制を構築している。 SATOブランドは、エントリー・レベル製品の市場でリーダーとしての地位を確立することで、将来的に、そのユーザーが上位製品へと移行することにより、LIXILの長期的な成長にも貢献することが期待できる。

瀬戸社長などが出席し、オンラインでESG説明会を開催した

「水の保全と環境問題」についいては、2050年までに達成を目指す環境ビジョンを策定し、事業プロセスと製品・サービスを通じて、CO2の排出を実質ゼロにし、水の恩恵と限りある資源を次世代につなぐリーディングカンパニーを目指す取り組みを進めている。その取り組みの一つが環境負荷低減に貢献する製品・サービスの拡充だ。住まいの省エネやネットゼロエネルギーハウスや、ネットゼロエネルギービルの普及に貢献する製品・サービスなどを通じて、環境問題の解消に貢献していきたい考え。2026年までに窓の売上構成の100%を高性能窓にすることも宣言している。

「多様性の尊重」については、「ダイバーシティ&インクルージョン」を中心に据えた変革を推進する。ジェンダーの不均衡の改善を目標に掲げ、管理職の女性を全社的に2030年までに30%とすることや、取締役、執行役の女性比率を50%にすることなどを目指す。

同社のコーポレート・レスポンシビリティ委員長でもある、ジン・モンテサーノ専務は、「水まわりおよび住宅に関する製品の先駆者的メーカーとして、私たちは実社会と同じくらい多様な消費者にサービスを提供している。消費者の置かれている状況やニーズを理解し、予測するため、消費者に対する理解を深めねばならない。新しいアイディアやテクノロジーは、多様な視点が共有され、それに耳が傾けられる職場環境でなければ実現しない。つまり私たちは、真にインクルーシブな職場環境を構築しなければならない」と説明した。

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