2021.4.16

アイダ設計、プレカット工場の生産工程を見える化

安心感を高めブランド力強化も

アイダ設計は受注増に対応して茨城県坂東市にプレカット工場を新設し、2019年10月に稼働を開始した。
最新鋭の生産設備を導入し、工期短縮、加工精度の向上を実現。
また、一般消費者を対象とした見学会を開催するなど、「見せる工場」としても活用する。
生産工程の見える化により、消費者の安心感を高め、ブランド力の強化につなげていきたい考えだ。

プレカット事業部茨城工場の外観。建物面積は約1万4000㎡。月産最大320棟の生産能力を持つ


アイダ設計(埼玉県さいたま市、會田貞光代表取締役社長)は、1981年の創業以来、「自社一貫体制」による住宅づくりを展開している。その中で、「木造住宅にとって心臓部である構造躯体のプレカットは、自分たちでやろう」という想いのもと、1990年代半ばから、自社でプレカット工場を持ち、プレカット事業に参入。その後、プレカット工場として千葉工場と埼玉工場(埼玉県坂戸市)の2つの拠点を構え、自社物件はもちろん、住宅事業者向けの外販も含め、プレカットの受注・生産を行ってきた。

2019年10月には、自社物件の生産増加、及び外販の受注増加に伴い、プレカットの生産力強化のため、千葉工場を坂東インター工業団地内、約1万2000坪の区画に移転し、プレカット事業部茨城工場として稼働を開始。生産管理システム、最新機械の導入や、自動化を増やすことにより、加工精度の向上と省人化を実現した。同社プレカット事業部の小平謙二郎部長は、「通常、現場で大工が構造材を加工すると1週間はかかるのに対して、プレカット事業部茨城工場では、ラインでの機械加工により同じ作業が3時間もあれば終わる。工期の短縮、施工品質の向上にも寄与する」と説明する。

また、新たに特殊加工にも対応できる最新鋭の加工機も導入したことで、デザインや間取りの自由度を高められる。さらに、従来は手加工や現場での加工を余儀なくされてきた大梁などの加工も一貫して機械加工が可能になり、そうした能力を生かして非住宅建築物(店舗・倉庫)や福祉施設などの大型木造建築物への対応も強化している。プレカット事業部茨城工場の1月あたりの加工能力は延床面積ベースで月間約1万坪。棟数に換算すると月間最大約320棟の受注に対応できる。

新型コロナウイルス感染拡大後も、同社は消費者のニーズを捉えて受注棟数を伸ばしている。プレカット事業部の吉野宏常務執行役員は、「2020年7月以降、受注棟数は月間270棟超のペースで推移している。月平均販売棟数で比較すると、注文・分譲共に前期比1.2倍以上となっている。新型コロナウイルス感染拡大による影響は大きく、弊社でも直後は販売棟数が落ち込んだが、その後販売棟数は改善している。自宅で過ごす時間の増加、テレワークの増加に伴い、住まいを見直す方も一時的に増えたことも要因の一つではないか」と話す。

全生産量の3割は外販
住宅事業者ごとの仕様に対応

地域の工務店などをターゲットに、プレカットの外販にも注力する。プレカット事業部茨城工場では、3回のシフトチェンジにより、24時間フル稼働している状況だが、全生産量のうち約3割は住宅事業者などからの外販分。120〜130社と取引がある。住宅事業者のスタッフと、同社のCAD担当者が打ち合わせを行い、住宅事業者各社の仕様に応じたプレカットCAD設計図を作成する。プレカット事業部CAD課の石川敏子課長は、「住宅事業者ごとに仕様、納まりは異なるため、初期の打ち合わせが特に重要になる。また同じ住宅事業者でも、担当する現場監督や大工さんによっても仕様や納まりは変化する。そうしたディテールまでしっかり先方の要望を聞き、プレカットCAD設計図に反映することで、信頼を獲得でき、リピーターになってもらいやすい。住宅事業者の要望をしっかり聞き取りができる、コミュニケーション能力に長けた若手スタッフの育成にも取り組んでいる」と話す。


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