2021.3.19

早稲田大学・ポラスグループ、郊外戸建分譲の付加価値で共同研究

木質化や農ある暮らしの可能性を検証

早稲田大学とポラスグループは、コロナ禍以後における郊外の戸建分譲住宅の付加価値について共同研究を行う。郊外分譲住宅の付加価値として、まちの木質化やテレワーク対応、農ある暮らしなどの可能性を検証したい考えだ。

《Garden City型》次世代住宅地モデル開発のイメージ

コロナ禍で郊外の分譲住宅が再評価
産学連携で次世代モデルを検討

コロナ禍で郊外の分譲住宅のニーズが高まっている。昨年7月頃から前年比以上の販売を続ける企業も多い。テレワークの普及で通勤時間という制約が緩くなったことで、価格が手頃で居住面積も比較的余裕のある郊外の戸建分譲住宅の需要が高まっているのだ。

コロナにより分譲住宅のあり方が変わろうとするなか、早稲田大学総合研究機構 医学を基礎とするまちづくり研究所の山村崇所員(早稲田大学高等研究所 講師)らの研究グループとポラスグループは、コロナ禍以後の郊外型戸建分譲住宅の付加価値についての共同研究「自然との共生を実現する《Garden City型》次世代住宅地モデル開発」を開始。今回、同研究が国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「官民による若手研究者発掘支援事業」に採択された。

アンケート調査などでデータ取得
ポラスの開発に付加価値の本格導入も

共同研究では、早稲田大学研究グループが郊外の戸建分譲住宅の新たな付加価値になりそうな要素について、ポラスグループの住宅購入者へのアンケート調査などを通じて客観的なデータを取得し、学術的な観点からその需要や効果を検証する。そして、その結果、新たな付加価値となりそうなものについて、ポラスグループの分譲住宅開発に本格的に取り入れていく方針だ。

現在、研究グループが新たな付加価値の要素の一つとして考えていることが「まちの木質化」だ。木材はCO2を炭素として固定するという点で環境負荷の少ない建材であり、人の心身の健康に良い影響を与えることも知られている。住宅単体だけでなく、分譲住宅地の共有施設なども含めて木質化を図ることで、大きな付加価値になるのではないかと考えているものだ。

また、「テレワークへの対応」も新たな付加価値の要素として検証する。例えば、研究グループが行った調査では、家族の生活音が気になるなどの課題が多いことから、どういった提案が有効かを検証したい考えだ。

「農ある暮らし」も新たな付加価値になる可能性があるとみる。例えば、分譲地内にコミュニティガーデンを設けることで、居住者の心身の健康を維持・増進するとともに、居住者間のコミュニティ醸成の効果も期待できるとし、検証していきたい考えだ。

さらに、「街の資産価値を維持する仕組み」も郊外型分譲住宅地の新たな付加価値として検証する。

郊外の分譲住宅では、適切な運営管理がなされずに荒廃し、資産価値が下がっているところもある。そうならないよう、街の資産価値を維持するため、住民自らメンテナンスを行う仕組みの可能性も考えていきたい考えだ。