2021.3.12

大和ライフネクスト、長期修繕計画シミュレーションを管理受託外物件にも

高経年マンション増加の歯止めに一役

大和ハウスグループの大和ライフネクストは、管理受託外のマンション入居者が活用できる長期修繕計画シミュレーション機能を搭載した修繕工事専用ホームページを開設した。

管理受託外のマンション入居者が活用できる長期修繕計画シミュレーション機能を搭載した修繕工事専用ホームページ

築40年超の高経年マンションが社会問題化している。要因の1つとされているのがマンションの修繕問題だ。修繕積立金の不足などにより必要な修繕がなされず、居住環境が悪化。区分所有者の高齢化・非居住化(賃貸・空き住戸化)が進行し、管理組合の担い手不足も深刻化するなど、負のスパイラルが加速し、既に80万戸以上ある高経年マンションが10年後には200万戸に迫ると予想されている。

長期に住み続けられるためには、しっかりした修繕の継続が求められるが、その際に必要となるのが財源となる修繕積立金だ。マンション管理組合で修繕積立金が用意されていないと、適切な時期に修繕ができないことも想定される。マンションでは長期修繕計画に沿った形で、修繕積立金の額を設定していくことになるが、実際に修繕工事をする際、予算不足に陥るケースもあるという。過去に組んだ長期修繕計画にある工事費などが値上がりし、実態と修繕積立金の資金計画との間にずれが発生するためだ。そこで同社は、管理受託するマンションの管理組合に対して、毎年、長期修繕計画の更新案を提案し、計画と資金のずれを抑えるような取り組みを行っている。

同社によると、築20年を超えるマンションでは「2回目の大規模修繕工事」と「給排水設備」や「インターホンなどの電気設備」の更新時期が重なり、多額の費用が必要となることから資金計画の見直しが必要となるケースが多く見られるという。適切な時期に、必要な修繕工事が実施できるよう、同社では長期修繕計画の毎期更新を推奨。年間で約5000件の長期修繕計画の新規作成・更新をサポートしている。

しかし、同社のような毎年、長期修繕計画の更新を奨励する管理会社は少数に限られており、多くは法令で定められている5年ごとに長期修繕計画を見直すことが多いという。同社は、「毎年、長期修繕計画を見直す必要性を、マンション管理組合の方々に知ってもらいたい」と今回、管理受託外のマンション組合員でも利用できる修繕専用ホームページを開設した。

マンション購入時のパンフレットなどに記載されている建物情報を入力すると、簡易的な長期修繕計画が表示される。想定しているタイプは、①100戸未満②平均専有面積60~90㎡(ファミリータイプ)③大規模修繕は12年周期④設備は一般的な範囲のみ——―の4項目を満たすマンション。

管理受託外のマンション入居者でも利用できる修繕専用ホームページの公開は業界でも初めてという。「管理受託外のマンションのご入居者に当社のノウハウやサービスを知ってもらいたい」(同社)と話す。