ビスダックジャパン、木造建物ユニットの販売好調、今年上期25%の伸び
新型コロナによる医療従事者への休憩所の需要も
ビスダックジャパンは、木造建物ユニット「レブユニット」の販売が好調だ。公共建築物の木造化に加え、新型コロナウイルス感染拡大により医療従事者の休憩室向けなどへの引き合いが活発だ。
同社は国産材を使ったログハウスを販売している。ユーザーから「廉価で国産材を使った建物ができないか」との声をヒントに、レブユニットを開発した。
商品は2種類。1つは「板倉」という和風のユニットだ。板倉は寺社仏閣に使われる板倉工法を採用。もう1つが軸組工法を採用している洋風タイプの「デミックモンガー」。いずれも自社工場で生産したパネルを組み合わせて作るユニットだ。設置場所へはトラックに載せ移動し、その後クレーンでユニットを吊って敷地内へ設置する。ユニットの大きさは2m×5mが多いというが、「通常、在来軸組工法の建築物はクレーンでは吊れない。落とし込み板工法のものはより難しい」(営業部の髙島章氏)という。レブユニットは、こうした課題をクリアーするため、同社のオリジナルの多機能耐力パネル「タフボード」(大臣認定取得、壁倍率4.5倍)を梁に使い、「在来軸組工法を吊ることができる工夫をしている」と髙島氏は明かす。
ユニットに内装、設備を加えるとトイレやシャワー、風呂、囲炉裏、事務所、宿舎、ホテルなどさまざまな用途に展開できる。中には「11階建てビルの屋上にサウナを付けたいという要望に対して、下からクレーンで吊り上げ設置したこともある」(髙島氏)。ユニットは、並列組、T字組、L字組など多彩な連結も可能だ。
2010年の販売開始から累計で1000棟を超すレブユニットだが、ここへきてさらに注目が高まっている。1つは公共建築物の木造化への推進だ。公園内の管理事務所などへの引き合いが活発という。髙島氏は「公共建築物というと庁舎や学校など大規模な建物に関心が集まりがちだが、公園の管理事務所やトイレなど小規模な建物も木造化の対象になっており、レブユニットへの関心が高い」と話す。また近年の働き方改革もレブユニットの販売には追い風となっている。例えば運送業だが、以前は工事現場のプレハブ小屋のような事務所が多かった。「だがそれでは運転手が集まらず、レブユニットを連棟で作った事務所にし、労働環境の良さをアピールするところが増えている」と髙島氏は話す。さらに新型コロナウイルス感染拡大により医療機関への負担が増える中、「レブユニットを医療従事者の休憩室に使うケースもある」(髙島氏)という。こうした複数の要素が重なり、今年上期(4-9月)の販売棟数は前年を25%上回る。
新型コロナが収束しても、公共建築物の木造化や働き方改革による事務所環境の改善は進むことが予想される。現在の売上高は1億円だが、髙島氏は「できるだけ早い時期に100億円にまで引き上げたい」と意欲を示す。
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