2020.10.28

早稲田大を中心に初の大規模産学連携コンソーシアム

ヒートポンプ技術のさらなる普及へ

産学連携でヒートポンプ技術の共通課題を解決し、さらなる普及促進につなげる取り組み行う「次世代ヒートポンプ技術戦略研究コンソーシアム」(会長:齋藤潔基幹理工学部教授)が活動を本格始動させた。

オープニングセレモニーでの齋藤潔会長

同コンソーシアムは、早稲田大学が中心となり、冷凍空調機器メーカーや電力会社、ガス会社などの17社が参画したヒートポンプ技術関連コンソーシアム。これまで、ヒートポンブ技術に関連し、大規模な産学連携のコンソーシアムはなく、今後の取り組みに注目が集まりそうだ。

少ないエネルギーで空気の熱を集め大きな熱エネルギーとして利用するヒートポンプ技術は、優れた省エネ性からエアコンや冷蔵庫などの家電製品や給湯機器などで広く採用されている。しかし、冷媒による地球温暖化問題や、実運転と規格性能との乖離、効率化競争による快適性の欠如、ヒートポンプ技術を採用した機器のガラパゴス化、IoT化の遅れといった多くの課題も山積している。こうした課題の解決を図り、さらなるヒートポンプ技術の普及促進を目指すためには、「多様な人材が集まり、オープンな場で議論する必要がある」(齋藤会長)とし、早稲田大学を中心に「次世代ヒートポンプ技術戦略研究コンソーシアム」の設立に至った。

コンソーシアムでは、ヒートポンプ技術の今後の道筋を示すため、関連省庁などとの連携を図りながら、ロードマップやルールづくりを進める。

また、ヒートポンプ技術を活用した革新的な製品開発の場づくりにも取り組む。早稲田大学の研究機関としての機能を活用し、環境・エネルギー機器の評価や分析を行っていきたい考えだ。さらに、コンソーシアムの参加企業間で連携を図りながら、ユーザーの評価を取り入れた製品開発も視野に入れる。

アジアを中心に、日本のヒートポンプ技術の海外への普及促進にも力を入れる。この一環として、従来にはない新たな形での国際会議を開催する。これまで、教育・学術機関と企業は別々に国際会議を開いていたが、今後はコンソーシアムを通じて両者が参加し交流できる形の会議の開催を目指す。2021年にインドネシアのバリ島での開催を予定しており、「東南アジアの主要なメンバーに集まってもらう。早稲田大学の知名度も生かして取り組んでいきたい」(齋藤会長)としている。

このほか、国内外でヒートポンプ技術の価値を高めるような情報発信にも取り組む。ヒートポンプ技術を採用した機器の省エネ性能などを分析・評価したうえでデータベース化し、ESG投資に取り組む投資家などへ向けて情報発信していきたい考えだ。

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ハウジング・トリビューンVol.610(2020年22号)

特集:

災害広域化に備え、求められる数、速さ、居住性

近年、大規模な自然災害が相次いでいる。平成22年度から令和元年度までで半壊以上の住家被害が1000戸以上の災害は東日本大震災をはじめ13災害に上る。令和2年も熊本県などに大きな被害をもたらした「令和2年7月豪雨」が発生。死者・行方不明者80人超、家屋被害は全半壊だけで6000戸に及んだ。今年は新型コロナウイルス感染症という、これまでにない問題も発生し、これまで以上に避難生活から仮設期の暮らしへのスピーディーな移行が求められる。

応急仮設住宅は、「建設型」での対応が行われていたが、災害被害の拡大にともなってより多くの住宅が必要になったことで「みなし仮設」とよばれる「賃貸型」が導入、その活用が広がった。そして、今、注目を集めているのがトレーラーハウスやムービングハウスなどの移動式仮設住宅だ。

今後、南海トラフや首都直下などの大地震による想像を絶するほど大規模な家屋被害も予想される。それだけに仮設期の住宅供給をどうするのかを平時の今から考えなければならない。移動式仮設住宅は、プレハブや木造などの仮設住宅、民間住宅などを借り上げる「みなし住宅」に次ぐ3つ目の柱になるのか――。移動式仮設住宅の可能性を探った。

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