発泡スチロール協会、新EPS工法の普及に注力
型式認定取得でコストダウン、耐力アップが可能に
新EPS床断熱工法で住宅型式性能認定を取得。剛床工法+根太の床組みにおける剛床断熱のデメリットを解消した。木材費用のコストダウン、耐力アップ設計などのメリットを強く訴求している。
発泡スチロール協会が新EPS床断熱工法で住宅型式性能認定を取得、その普及に力を入れている。
この新工法はEPS剛床工法+根太を使用したもの。
床組みは、根太の上に12mm厚の床下地合板を張る「根太工法」と、24mm以上の構造用合板を用いることで根太を設けずに横からの水平力に抵抗する「剛床工法」(根太レス工法)がある。EPS剛床工法とは「剛床工法」の大引き間に厚さ90mmのEPS(発泡スチロール)を敷き込む工法だ。
同工法を採用するビルダーのなかには、この剛床工法を採用するにもかかわらず大引きの間に根太を設け、さらに強度を上げて経時変化などによる音鳴りやたわみを防ぐ取り組みをしているところもあるという。しかし、現在の省エネ法の断熱の計算ルールでは、木材の厚みを超える断熱部分は断熱材の厚みにカウントされない。つまり45mm角の根太を設置すると、90mmのEPSを入れても45mmとしてしか扱われないということだ。
この課題を解消しようと、(一財)建材試験センターで新EPS床断熱工法の住宅型式性能認定を取得した。認定を取得したことで、EPSが木材(根太)から飛び出した場合でも断熱性能が評価される。
剛床工法は910mmピッチで大引きを入れるが、90mm角の大引きを入れていたところを45mm角の根太としても断熱性能が評価され、木材の材料削減にもつながる。また、一部強度をアップさせたいという場所に根太を追加できることから設計の自由度も上がり、耐力アップが可能となった。
認定を受けた住宅型式は、EPS熱伝導率ごとに4種で、断熱性能にあわせて選択することができる。EPSの厚みは90mmに限定されている。
EPSの特徴は、そのコストパフォーマンスにある。断熱性能だけをみるとEPS熱伝導率の半分程度の製品もあり、そうした製品であれば45mmの根太を使って厚さが半分にカウント、根太の厚さと変わらないことになる。ただ、EPSはコスト面で有利であり、新EPS床断熱工法の認定取得により、ユーザーは使い方、性能、コストなどさまざまなポイントで断熱材を選べることになる。
もう一つ、EPSは長期にわたり断熱性能が劣化しないという大きな特徴も持つ。JISの評価方法で試験を行ったところ、EPS厚50mm製品の長期熱伝導率は100年以上性能を維持できることが分かった。これは気泡内の発泡ガスによって熱伝導率を維持しているのではなく、発泡した原料ビーズの気泡に空気を閉じ込めるため、経年の変化が少ないためだ。
住宅は長く使用するものであり、同協会では「初期性能だけではなく長く使える断熱材としてみてほしい」とアピールしている。
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