住宅 |  2020.7.16

旭化成ホームズ、在宅ワークの浸透で夫も家事の担い手に

記者勉強会で労働の在り方指摘

旭化成ホームズは「ワーク・ワーク・バランスを保つ新たな暮らし方を探る」をテーマにオンライン記者勉強会を開いた。トークセッションに参加した有識者は在宅ワークの普及による労働の在り方の変化を指摘した。


同社は6月、「在宅ワークに関するくらしの変化についての調査結果」を公表。新型コロナウイルス感染拡大での外出自粛により、多くの人が急遽対応に迫られた在宅ワークによる生活時間の変化について、「夕食時間が1時間近く早まる一方で、就寝時間に大きな差はなかった」など住まい手の行動パターンを明らかにした。また、調査では、在宅ワークは、仕事の時間増加や日常生活の混在などの課題を浮き彫りに。記者勉強会では、今後定着が見通される在宅ワークについて、家族社会に詳しい、立命館大学 産業社会学部の筒井淳也教授と同社くらしノべーション研究所の松本吉彦顧問が課題などを指摘した。

筒井教授は、労働を有償と無償の2つに分類。有償は外で働く、無償は家事とし、男性が有償、女性は無償という昭和的なモデルを典型例に挙げた。筒井教授は「現代ではフルタイムで働く女性が増え、女性の有償労働時間は著しく増えている」と指摘。一方で男性の無償労働時間は政府調査によると10年間で10分弱ぐらいしか増えていないという。女性の社会進出が増えても、多くは無償労働である家事について女性が担っている状況を説明した。

こうした実態を踏まえ、筒井教授は、有償・無償それぞれの労働をバランスよくこなす「ワーク・ワーク・バランス」について「日本では思うように進んでこなかった」と話す。それが在宅ワークの普及による通勤時間の削減などから、男性も家事の担い手になるかもしれないというわけだ。

今回同社が実施した調査を踏まえ、筒井教授は「会社の仕事と家事・育児と合わせた上で比較的柔軟に個別に段取りをとるようになった人が増えてきているのではないか」とみる。

ただ、課題も指摘する。近年、しばし言われる「ワーク・ライフ・バランス」。このライフとは「仕事もしていないし、家事・育児もしていない時間」(筒井教授)。それぞれの自由な時間については「出勤後の同僚との雑談や飲み会など、必ずしも家庭で過ごすこととは限らない」と筒井教授は指摘。これまでは働く場所と暮らす場所が離れ、家庭外でライフな時間を過ごしていた人も、在宅勤務が今後進めば、「ライフを意図的に作らなければいけないかもしれない」と話す。

また、「在宅ワークと言うとなんとなく画一的なイメージを抱く人がいるが、働き方によって空間や時間の使い方が変わってくるため、柔軟性が求められる」と強調した。
在宅ワークが共働きの問題解決も

松本顧問は、在宅ワークにより無償と有償労働を同時に行えることで、「このバランスをうまくとっていくと今まで共働きで抱えていた問題解決の糸口が見えてくるのではないか」と指摘。共働きが増えている今でも、女性の方がなんとなく早く帰って家事をやるというモデルが成立してしまっているという。そこで数多く登場したのが家事時短につながる家電製品だが、洗濯機を例に、「家電側の目指した時短と生活面がマッチしていない」と指摘。それが、在宅ワークが浸透すれば、「在宅している方が家事をやった方がいいのではないかということになり、夫が家事をやるという実現可能性が高いのでは」と語った。

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