2020.7.14

ポラスグループ・中央グリーン開発、東京23区内で 5LDK分譲住宅を販売

テレワークの急速な普及を追い風に、堅調

ポラスグループ・中央グリーン開発が東京・光が丘で販売する分譲住宅「東京5LDK@nerima hikarigaoka」の売れ行きが堅調だ。テレワークの急増を背景に、4LDKの建物面積で5LDKに可変可能な空間を東京23区内で実現できることがうけている。


「東京5LDK@nerima hikarigaoka」の街並み

「東京5LDK@nerima hikarigaoka」は、練馬区光が丘で23区画の販売を計画する。昨年12月から販売を始めた。これまでに18棟を成約。このうち、12棟は新型コロナウイルス感染症による外出自粛でテレワークが急速に進んだ3〜6月だ。同社は、感染拡大を防ぐため、モデル棟を自由に見学できる方法を中止し、全て予約制にした。このため、来場者は大幅に減少したが、その中でも売れ行きが堅調なのは、土地に限りがある都内での5LDKの提案が、住宅購入希望者に刺さっているためだ。

建物の面積は1区画当たり100㎡前後。従来ならば、3、4LDKで設計していた面積と同じ広さで、23区画全てで5LDKを実現している。同社ブランディング課の杉山秀明マネージャーは「当社としては初めての取り組みだが、同業他社でもこの規模で全て5LDKという事例を見たことがない」と強調する。

この分譲住宅の提案は、新型コロナ禍の前に行われた。仕事から帰り、自宅でくつろぐ、落ち着ける居場所がない父親を指す“自宅難民”に着目。杉山氏は「この言葉が生まれた背景の一つに家の中で自分らしくいられる空間がないという従来の間取りのあり方に問題がある」と指摘。「一般消費財と違い、住宅は何十年と使用し、時間の経過とともに家族構成やライフスタイルが大きく変化し間取りのあり方もその時々で変化する」と考えた。

近年の共働き世帯の増加による世帯年収の増加や住宅ローンの超低金利などから、購入者の平均年齢は年々下がっている。このため、家族構成の固まらない段階での住宅購入が増加傾向にあるという。杉山氏は「今後、働き方改革による社会の変化によるテレワーク推進が急速に進むことが予想される中、家の中で自分らしくいられ、仕事もできるもう一つの空間の実現が必要と考えデザインした」と話す。

4畳半に仕切った2部屋をパパ、ママの部屋として提案する

こうした発想から誕生した「東京5LDK@nerima hikarigaoka」。2階の間取りを工夫した。一般的な分譲住宅の2階は8畳6畳6畳といった画一的な間取りが多いが、ここでは全23区画の2階の間取りを2〜4部屋へゾーイング可能に。例えば4部屋では、4畳半2部屋、6帖と5帖各1部屋を提案。4畳半2部屋を、パパ、ママそれぞれの部屋に分け、「オンライン会議などテレワークに対応できる個室としてイメージしている」と話す。

また、フレキシブルな間取り変更を容易にするため、壁の追加工事の際に必要となる下地をあらかじめ設置。シーリングコンセントやスイッチ電源コンセント、扉、窓、収納なども部屋を分けることを前提に設計している。杉山氏は「リフォームのための将来の経済的な負担を最小限に抑えて設計した」と話す。

リビングを仕切り個室空間を提案

一方、個室を増やすことで、家族間のコミュニケーションの疎遠が気になるところ。この「東京5LDK@nerima hikarigaoka」では、例えばリビングの一部にガラスの可変間仕切り扉を設置。子どもをリビングで遊ばせながら、仕事モード時には、この扉で仕切りを作り、ロールスクリーンを下ろせば簡単に個室空間ができる。「家族とのつながりを大切にした」と話す。

様々な社会変化を敏感に感じながら、提案した「東京5LDK@nerima hikarigaoka」。新型コロナ禍がテレワークなど働き方改革を予想外に押し進め、テレワークによる住まいの個室への在り方が見直されたのも、販売に追い風となっているといえよう。

杉山氏は「新型コロナ対策の中、テレワークなど新しい生活様式が求められたことで家の中には狭くとも自分らしくいられる空間や家の中オフィスが必要であることがより顕著になり潜在需要が掘り起こされた」とみる。今後、感染症リスクを抑えるため外出を控えて家で家族と過ごす時間が増えることが予想される。その中で、杉山氏は「テレワークができる空間をつくるだけでなく、ライフスタイルの変化に合わせて家族の時間と、個の時間の確保ができる間取りがこれからの分譲住宅には求められる。今後、23区内で第2、3弾を考えていきたい」と強調する。