設備 |  2020.7.21

生活サービスの提供で新たな価値創造を 無限に広がるデータ活用の可能性

電力データを活かせ!【前編】

照明やエアコンなど住まいのなかの電力データを把握することで、居住者に対してさまざまなサービスを提供することができる。
それは住宅事業者にとって大きな差別化の武器にもなり得るものだ。
いったいどのようにデータを収集し、どのような価値を創出できるのか──。


ビッグデータの活用が社会的に進みつつある。購買履歴や移動履歴などさまざまな分野のデータを集積、分析することで新たなビジネスへとつなげていこうというものだ。同じように住まいのなかで家族がどのような暮らしをしているのかを把握することができれば、さまざまなサービスにつなげることが可能で、新たな価値の創出にもつながる。

そのデータの一つが電力使用量だ。

住宅では照明、エアコン、洗濯機、冷蔵庫、テレビなどさまざまな機器が常に電気を使用している。まず、いつ、どの機器が、どれだけ電気を使っているかを把握しなければならないが、電力メーターでは使用している総量しか把握することができない。もちろん、すべての機器にセンサーなりを取り付ければ可能であるが、あまりにも煩雑だ。

この課題を解決できるのが東京電力グループのエナジーゲートウェイ。同社のコア技術が「家電分離技術」。小さな高精度電力センサーを分電盤に組み込み電力・電流を測定、その情報をWi-FiでクラウドAIへとデータ送信する。そこでAI家電分離技術により、それぞれの家電をいつ、どの程度使ったのかがわかる。たった一つのセンサーで家中の家電を見える化することができるわけだ。

見守りサービスの例
見守りサービスの例

パーソナルな生活サービスの提供が可能に

この電力使用データを活用することでさまざまなサービスを創出することができる。

例えば、総使用電力だけでなくその内訳も提供して〝見える化〟することで、居住者に〝気づき〟を与えることができる。また、つけっぱなし家電を知らせることで省エネにもつながる。さらに一歩進め、非効率家電の買い替え提案や、電気の使い方から住宅設備を提案するなど、データを元にした居住者にお得なリフォームを提案することも可能だ。

また、家電が動いているかどうかを離れた場所からリアルタイムで確認することができれば、高齢者や子どもを見守ることができる。例えば、真夏の暑い日に部屋のエアコンが稼働していなければ連絡して状況が確認できる。

このように家電の利用状況を把握できるだけで、それぞれの家族にマッチしたさまざまなサービスを提供することが可能になる。

活用例内容
HEMS(省エネ・エネマネ)見える化、監視、蓄電池の最適制御
最適な料金プランや設備の提案最適な電気料金プラン・住宅設備(ヒートポンプ給湯機・蓄電池等)を提案
家電の買換え提案非効率家電を見つけて、効率家電への買換えを提案
家電のリユース促進 動作ログ(直近の稼働確認や動作回数)付き中古家電の流通
故障検知・防災家電の故障・つけっぱなし・漏電を検知
見守り・ヘルスケア高齢者・子ども見守り、熱中症見守り、未病・認知症の早期発見
補償・保険・与信家電の延長保証、医療/生命保険、孤独死対策、信用スコア
宅配業務効率化在・不在の把握による不在配達の削減
パーソライズドマーケティング生活スタイルを分析し、その人に合った最適な製品・サービスを提案
電気使用量データの活用例(出典:エナジーゲートウェイ資料)

暮らしに新たな価値を
サービス提案が大きな武器

先にみたサービス例のなかには、電池で動くセンサーや1種類の家電製品を活用した見守りサービスなど、個別のサービスとしてすでに存在しているものもある。

しかし、電力データを活用した場合、電池切れの懸念や居住者の生活行動を変えることなく、自動でデータが収集できることに加え、多種にわたるサービスのなかから居住者の生活スタイルにマッチしたパーソナルなサービスを提供することができる。

センサー1つをつけるだけで多種多様なサービスを提供・提案することが可能となるわけだ。居住者にとってメリットは大きい。

さらに、これらのサービスの多くは、今後広がりが期待されるものも多い。これからの住まいの新しい価値と言ってもいいだろう。

住宅事業者にとっても、引渡し済みのOB顧客や賃貸入居者などに対して、こうした価値提案は大きな武器となるのではないだろうか。


電力ビックデータを活用し社会課題の解決に貢献

エナジーゲートウェイは、東京電力パワーグリッドとインフォメティスの合弁会社。電気の使用状況や家電の使用情報を集め・分析することで「データの社会的利用」、「未来の社会的基盤構築」に寄与することをビジョンに掲げ、電力ビッグデータをさまざまな社会課題解決に役立てることを目指す。

このビッグデータの収集・分析を担っているのが、世界最先端のテクノロジー。分電盤に設置した電力センサーが電気の使われ方を計測し、インフォメティス社のAI技術が対象となる家電が、いつ、どのように使われているのかを分析、推定する。分電盤で測定した電流波形は、その時に動いているそれぞれの家電すべての電流波形を足したもの。家電分離AIは、分電盤で測定した波形とマッチする家電の電流波形の組み合わせを見つけることで家電の稼働状況を判定する。

こうした技術により電気料金やそれぞれの家電の稼働状況をアプリに表示することが可能になるわけだ
センサー設置は、電気工事士の資格があれば30分程度と、短時間で施工ができることも大きな特徴といえる。


●問合せ
エナジーゲートウェイ
東京都港区新橋3丁目1番11号
TEL: 03-6550-8450(代表)

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ハウジング・トリビューンVol.606(2020年18号)

特集:

地に足のついた営業で一足先に受注回復へ

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言解除から3カ月が過ぎた。
一時は休業停止に追い込まれた数多くの住宅展示場も客足が戻りつつある。
客との対面でのやりとりができなくなる中、住宅メーカー各社が緊急対応として取り入れたオンラインによる打ち合わせやVRなどの導入によるWebの強化策。
2ケタ台の落ち込みが相次ぐ7月に、一足早く前年対比を上回ったメーカーから見えてきたのは、地に足のついた営業姿勢だった。
一部では非対面での住宅営業が進むとの見方もある中、他よりも一足早く受注が回復したにメーカーでは、「地道に丁寧な営業を重ねた結果で、奇をてらった対応はしていない」と口をそろえる。

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