リストグループ、ホテル事業に参入
IoT活用で無人運営を実現
リストグループはホテル事業に参入した。渋谷に開業した初弾のホテルでは、IoT技術を活用し無人での運営を実現。新型コロナウイルス対策としての効果も期待する。
総合不動産会社のリストグループは、初めて旅館業を取得しホテル事業に参入。東京都渋谷区の松濤エリアにホテル「Re:ONcE Shibuya(リ・ワンス渋谷)」をオープンした。
リストグループでは、これまでに横浜市で民泊の運営を通じ宿泊事業に取り組み始めているが、今回、宿泊事業の事業領域を拡大するため、リ・ワンス渋谷を開業しホテル事業を開始した。
リストグループがホテル事業への参入を決めたきっかけは、近年相次いだ法改正による規制緩和だ。2018年6月の旅館業法改正と2019年6月の建築基準法改正で、最低客室数制限の撤廃や、フロント設置義務、用途変更に伴う建築確認面積の規定などが緩和され、用途変更を伴う簡易な宿泊事業に取り組みやすくなった。こうしたことを受け、リストプロパティーズは築15年の松濤ビル(事務所・店舗用途)を2019年9月に取得。そのうえで、2〜4階部分をリノベーションしホテルに用途変更し、今回のリ・ワンス渋谷の開業に至った。
リ・ワンス渋谷を開業した渋谷エリアは、東京を訪れた訪日外国人の4割以上が訪れる人気の観光エリアであることに加え、再開発が進みIT企業を中心に多くの企業が集結するビジネス街となっていることから、今後の観光・ビジネス需要での宿泊を見込む。
リ・ワンス渋谷の大きな特徴の一つが、スマートレジデンシャルホテル運営代行事業を営むzens(東京都港区・町田龍馬 代表取締役)に委託し、無人での運営を実現していること。
スマートロックなどのIoTを活用した遠隔チェックインシステムにより、宿泊者はフロントを通らずに、部屋の前でスムーズにチェックインできる。
もともと、こうした無人チェックインシステムを導入した理由は、宿泊者の利便性の向上、宿泊業界で深刻化する人材不足への対応、運営コストの削減などであった。
しかし、宿泊施設で新型コロナウイルスの感染防止対策が求められる中、非対面でチェックイン・チェックアウトを行えることのメリットも、リストプロパティーズでは訴求していきたい考えだ。
また、新型コロナウイルスによる宿泊需要の減少に対応し、当面は値引いた料金での運営を行なっていく予定であり、当初想定していた収益を上げることは難しい。こうした点でも、無人運営システムを導入することで、「ホテル運営で大きなコストが掛かる人件費を削減できるメリットは大きい」(リストプロパティーズ担当者)としている。
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