ポラスグループ・中央住宅、保全林の樹木を分譲地の公園へ移植
豊富な緑受けつぎながらまちをつくる
分譲前にあった森の面影を残し、文化を守る——。こんな思いを込めながら、ポラスグループ・中央住宅は千葉県鎌ケ谷市で分譲住宅の販売を始めた。
同社が6月上旬から販売を始めた分譲住宅「リーズン鎌ケ谷大仏-杜の記憶-46PROJECT」のある鎌ケ谷市は、市内に残された良好な樹林を保全するため、助成金制度などを設けながら保全林を指定している。現在、市内で指定されている保全林は10カ所だけになっている。
今回、同社が販売する分譲地も、もともとは保全林として昨年まで指定を受けていた。分譲地のある鎌ヶ谷市は、かつて木下街道の宿場町として親しまれてきた。近くには「旧旅籠・丸屋」があるなど、緑の多い自然環境と歴史が共存している。この丸屋は2020年3月文化庁から「歴史的景観に寄与している」と評価され、国の有形文化財として答申されている。建物は、明治時代から所有者が代々、手を加えながら維持・管理している。
分譲前の保全林の所有者は、この丸屋の管理にもかかわっている。この建物を改修し、後世につないでいくことを使命であると考えた所有者は、資金捻出などのために保全林の売却を検討。同社では、埼玉県越谷市内の旧日光街道沿いにある蔵を古民家複合施設に蘇らせる取り組みなどをしており、その活動に共鳴した所有者が同社を売却先に選んだという。
保全林は、地域住民に長年、豊かな緑を提供し、所有者も丁寧に手を入れてきた。同社は、こうした保全林所有者の森への思いを、新たに開発する分譲地に生かそうと、公園に一部の木を移植。ロウバイ等合計4本があり、当時の保全林があった場所であることを想像させる。同社戸建分譲設計本部設計二部営業企画設計課主任の日山麻子さんは「保有林所有者の思いを少しでも形に残したかった」と強調する。
公園の植樹だけでなく、もともと森であったことをイメージしやすいような仕掛けを分譲地ではしている。例えば、住宅に使用する外壁材では、木肌を感じるような柄のサイディングを使ったりしている。
住宅の中では、ムク材を空間のアクセントとして活用。売り出し期によって異なるものの、「第1期に関しては天然木のウッドパネルをリビングにはったり、化粧梁、化粧柱を要所に取り入れており、家の中でも木のしつらえを感じることができるように工夫している」と日山さんは話す。また、3つある街区も、「木肌」、「木立」、「木漏れ日」とそれぞれ木をイメージできるようにしている。
分譲地は全46区画。第一期販売分は今年11月からの引き渡しを予定する。
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