2020.6.3

消費増税の影響も増収相次ぐ 災害頻発でリフォームが堅調

2020年3月期決算 住宅

主要住宅メーカーの2020年3月期決算は、消費増税の影響を受けながらも、増収を確保する企業が相次いだ。


大和ハウス工業は、前年比5.7%増の4兆3802億円を売り上げた。物流施設などを展開する事業施設事業や商業施設事業が売り上げを押し上げた。また、住宅ストック事業も増収に貢献した。売上高は1456億円で前年比10.5%伸長した。同社施工の戸建・賃貸住宅のオーナーへのインスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化。いわゆる「卒FIT」による戸建住宅への家庭用蓄電池の販売などが売り上げ増につながった。

戸建住宅事業は前年を1.1%下回った。消費増税の影響などを受け、国内の受注が振るわなかった。19年度は「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」や木造住宅「xevo GranWood(ジーヴォ グラ ンウッド)」、3・4・5階建戸建住宅など多彩な商品をラインアップし、客の幅広いニーズへの対応に注力した。賃貸住宅事業の売上高は前年を4.6%下回る1兆59億円。戸建て同様に消費増税による受注減などが響いた。

旭化成ホームズの売上高は連結で6493億円(前年比7.4%増)、営業利益は674億円(同6.1%増)となり、ともに過去最高を記録した。

戸建住宅で、家事負担軽減アイテムの提案や住まいのレジリエンス強化を目的とした「防災家づくりフェア」など年間を通した提案が奏功。集合住宅では、災害時のレジリエンス強化のための「防災パッケージ」の提案や、共働き家族向けの新商品の投入などが売り上げ増に。建築請負部門の売上高は前年比3%増の4157億円だった。

リフォームも堅調だった。消費増税の駆け込み需要が上期前半は旺盛に。近年頻発する自然災害への備えとして、太陽光発電・蓄電池・エネファームなどの創エネ・蓄エネ設備工事が年間を通して順調に増加した。

積水化学工業住宅カンパニーも増収を確保した。売上高は前年比1%増の5129億円。消費増税により建替や集合住宅の需要が減少する中、売り上げの平準化やリフォーム事業での影響を最小限にとどめた。ただ、新型コロナウイルスによる部材の納入遅れなどが新築、リフォームそれぞれに及び、売上計画は未達となった。

19年度の新築住宅事業は「スマートパワーステーションアーバン」や「新・スマートパワーステーション」などの新商品を投入しながらスマートハウスを拡販。販売用土地在庫を拡充し、分譲住宅を中心としたファーストバイヤー向け住宅の受注獲得に取り組んだ。

賃貸専業の大東建託は減収になった。売上高は前年比0.3%減の1兆5862億円、営業利益は1279億円と前年比0.7%増だった。消費増税のほか、融資厳格化によるキャンセルの増加や他社施工不良問題が影響した。