JMDC、日本気象協会 気象と医療のWビッグデータを病気の予防や健康増進に活用
ぜんそくリスク予報を皮切りに健康価値の提案へ
気象と医療のビックデータを組み合わせて病気の予防や健康管理に活用するサービスを提案しているのがJMDCと(一財)日本気象協会。「ぜんそくリスク予報」サービスを皮切りに、天気予報とさまざまな疾患リスク予報で健康生活の価値を提案していく考えだ。
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日本気象協会は今年創立70周年を迎える。長年にわたり天気予報の提供を行っている歴史ある団体として知られる。北海道から沖縄までの詳細なを250mの細かい単位で観測する気象データや、海外の気象データを収集して気象の調査解析を行っている。また、専属の予報士による分析や、リアルタイムに情報を提供できるシステムが高精度な予測を可能にしている。国の公益法人改革にともない民間団体へと移行し、信頼と実績のある実測データと予測技術をビジネスに活用する方策が模索されるなかで出会ったのが㈱JMDCだった。
JMDCは日本最大規模のレセプト(診療報酬明細)データをベースに持つ医療ビッグデータの分析・解析のパイオニア。独自の匿名化処理技術とデータ分析集計技術を有している。4億1000万件以上のレセプトデータと1900万件以上の健診データ(2019年3月時点)の分析に基づく保険者向け保健事業支援、医薬品の安全性評価や医療経済分析などの情報サービスを展開している。
また健康度の単一指標(健康年齢)や健康増進を目的としたWebサービス(PepUp)など、医療データと解析力で健康社会の実現に取り組む一方、このデータを病気の予防と健康増進のために活用できないかと検討していた。
気象ビッグデータと医療ビッグデータを持つ両社が手を組み目を付けたのが気象と健康に密接に関係する疾患である「ぜんそく」。ぜんそく患者の発生は毎年3月と10〜12月にそれぞれピークがあり8月に低下するという季節性があり、気温との関係が示唆されている。こうした気温や気圧など天気によって変化を引き起こす病気は「気象病」と呼ばれている。
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「気象は変えることはできないが、事前に疾患の重症化リスクがわかっていれば予防できる。雨の時に傘をもつように、備えとして薬を携帯できる。旅行や台風などの前にも事前に用意することができる」(日本気象協会・事業本部メディア・コンシューマ事業部・技師川瀬善一郎氏)。
小児ぜんそくの患者は年間300万人が罹患。年齢別では10歳未満が多く、10歳を過ぎると減少する傾向がある。
「10歳まで症状に対応できていれば大人になってからの発症リスクの軽減につながる」(JMDC・事業開発部HealthWeather担当兼マーケティング部山中菜詩氏)。
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そうした背景から生まれたのがスマートフォン向けアプリの「ぜんそくリスク予報」。ぜんそく患者の受診状況と気象データを掛け合わせて、最大10日間の天気予報とぜんそくリスクを「危険」「厳重警報」「警戒」「注意」「油断禁物」の5ランクで知らせることができる。主にぜんそくの子どもをもつ親や家族などを対象にしている。主観による体調記録や音声記録による元気度チェックのほか、通院、薬の記録などができる。無料アプリだが、一昨年のリリース以来、ID登録は3000人ほど。さらに数を伸ばしていくのが目下の課題。また、予測精度を上げるために、室内でのデータにもとづくモデル予測にも力を入れていきたい考え。個人向けアプリとは別に家電メーカー向けのクラウドサービスとしても提供をはじめており、最近では建材メーカーからの引き合いもあるという。
今後はぜんそくだけでなく他の疾患へのニーズにも対応していきたい考え。気象データと医療データを組み合わせて付加価値の高いサービスを企業や個人に向けて提案していく方針だ。
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