文化シヤッター 「ライフイン環境防災研究所」
生活者視点に立ち、技術力で新規分野を開拓
プロダクトアウト型からマーケットイン型へと、ものづくりが大きく変わりつつあるが、文化シヤッターでは、それをもう一歩進めて生活者視点に立った「ライフイン型」の新商品開発を進める。その最前線が栃木県小山市にある「ライフイン環境防災研究所」だ。
文化シヤッターは、2016年度からスタートした新中期経営計画の中で、「エコ」、「防災」をキーワードに、ものづくりと新たな事業展開を進めることでさらなる成長に向けたエンジンとする注力事業の取り組みを強化する方針を掲げる。
2017年には、「エコ」と「防災」という両テーマに即したものづくりをさらに加速する目的で、同社の基幹工場、小山工場(栃木県小山市)に隣接する施設「ライフインセンター」の大幅増強を図り、「ライフイン環境防災研究所」を開設。敷地内に、新たに2階建て建屋を建設し、3次元の地震動を再現し、商品そのものの耐震性能を評価できる業界初の「耐震試験装置」や、自動でゲリラ豪雨などを想定した注水や排水ができる「止水試験場」など7種類の試験設備を導入した。
同社の嶋村悦典取締役常務執行役員は、「『ライフイン』とは、プロダクトアウト、マーケットイン型のものづくりを一歩進めて、生活者視点のものづくりを進めていこうという意味を込めて我々が創った造語。新商品を開発するにあたり、実際に自分たちが使って便利なのか、安全なのかという視点を大事にしている。その最前線『ライフイン環境防災研究所』では、基礎技術の研究から新商品の評価・検証を行っている。試験設備を増強することで、よりシビアに評価できる環境が整った。技術力に磨きをかけて新規分野の開拓を強力に進めていきたい」と話す。
また、「新商品開発のスピードアップを図る取り組みの一環として、10年以上前から自由な発想で新商品に関するアイディアを出してもらい、『この指とまれ方式』で仲間を集めて開発を進める『新商品企画プロジェクト』を展開している」(嶋村常務)。生活者の視点で新商品開発のアイディア出しから研究スタッフが携わる環境づくりが、モチベーションを引き出し、ユニークな商品づくりにつながっている。
簡単・スピード設置の止水関連商品が充実
中でも近年、台風や豪雨などの自然災害が頻発し、激甚化する傾向にある中で、商品開発のスピードアップを図っているのが止水関連商品「止水マスターシリーズ」だ。他社に先駆けて簡単かつスピード設置が可能な止水関連商品のラインナップが充実する。
その一つが簡易型止水シート「止めピタ」。土のうの10倍の止水性能を持ち、外部から押し寄せる水圧をシャッターフロントの強度で支えるため、部品点数も少なく、軽量でコンパクトなパッケージを実現した。一般的に浸水対策に用いられる土のうは重く設置しづらいという課題があり、女性1人でも短時間で簡単に設置できるものをという発想から生まれた商品だ。
「夜間や無人の施設においても水害対策に万全を期すには」という発想から生まれたのが水の浮力だけで自動で起立する「浮力起伏式止水板」。電源不要で大開口にも対応する。
ドアに止水機能を持たせようとすると、これまでは潜水艦のハッチのような重厚なものしかなく、コストや操作性の面で導入のハードルが高い。そこで、平常時はスチールドアと同じように開閉でき、浸水の恐れがある非常時のみ、「止水グレモン」を水平に引き上げるだけの簡単操作で止水対応ができる「アクアード」を開発した。浸水高さ3mまで対応したコストパフォーマンスに優れた止水ドアだ。令和元年の台風19号は、タワーマンションの電源設備が水没し、エレベーターなどが使用できなくなるといった被害をもたらしたが、こうした被害を抑制するためにもアクアードは有効だ。
「止水マスターシリーズのユーザーからは、『これがあって助かった』という声を多くいただいている。現状では、ゲリラ豪雨のような内水氾濫を想定して止水性能を確保しているが、巨大台風により河川の氾濫の被害などが増える中で、外水氾濫に対して何ができるのかも考えていく必要がある」(嶋村常務)。
IoT化した窓シャッターの技術開発でも業界をリード
「外出先からスマートフォンで電動シャッターを操作することができれば、安心・安全で快適なスマートライフが実現できる」。こうした発想から、IoT化した窓シャッターの技術開発にも注力する。
電動窓シャッター「マドマスター・スマートタイプ」には、ワイヤレス集中制御システム「セレコネクト2」に対応し、専用アプリでスマートフォンなどから操作できる機能を付与した。1階から2階の電動窓シャッターを開閉したり、外出前に玄関先で家中の窓シャッターを一斉に閉めるといったことが可能だ。また、外出時に天候が悪化した場合にでも外出先からスマホで窓シャッターの状況を確認して簡単に閉めることができる。スマホ以外にも、「Amazon Alexa」など、スマートスピーカーとも連動して音声で操作できる機能も持たせた。
タイマー機能も搭載する。窓シャッター1台ごとに曜日や時刻を最大10件設定できる「おこのみタイマー」機能ほか、日の出、日の入りに合わせて電動窓シャッターが自動開閉し、快適な暮らしをサポートする「おひさまタイマー」機能も持たせた。「タイマー機能は便利だが、自分で設定しなければならいことを面倒に感じる方もいる。そこで、日の出、日の入りの時間に合わせて、シャッターが自動で開閉する『おひさまタイマー』も開発した。ストレスフリーで快適性も高まる」(嶋村常務)。
研究スタッフ自ら新商品のアイディア出しから携わり、高度な技術力で形にし、品質評価と検証を経て製品化する。生活者目線の発想から徹底した品質チェックを踏まえた独自の商品づくりが同社の商品開発の強みになっている。
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