住宅 |  2019.11.25

旭化成ホームズ、新たなブランド戦略を展開

「HEBEL HAUS」で住宅からサービスまで包括

旭化成ホームズは、新たなブランド戦略に乗り出した。自社やグループ会社で扱う住宅やサービス全てを包括するマスターブランド「HEBEL HAUS(へーベルハウス)」を立ち上げ、そのブランド下での商品ラインアップを図る。マスターブランドを設けることでグループの一体化につなげるのが狙い。川畑社長は「ユニクロのようにブランド名で、その企業がイメージできるような環境を作っていきたい」と強調する。


1972年に創業し、間もなく50周年を迎える同社の中心商品は戸建住宅の「ヘーベルハウス」。一方で「旭化成」と「ヘーベルハウス」が乱立するなど、広告宣伝が分散し、グループ全体の総力が市場から見えにくい状況にあるという。この結果、「ヘーベルハウス」以外の商品ブランドの認知度が高まらない状態に。電通ブランド調査によると、「へーベルハウスというブランドは商品だけではなく会社の名前だと認識している」と答えた人は約7割。「ヘーベルハウスは知っていても、旭化成ホームズという社名を知っている消費者は少ない」(川畑文俊社長)。

それぞれの商品を包括するマスターブランドをつくり、グループ全体でのブランド価値の総和を高めていく。それにより、知名度向上・受注の拡大やリピート率向上だけでなく、優秀な人材確保につなげる考えだ。マスターブランドの設定により、今後は「HEBEL HAUS」の賃貸住宅「へーベルメゾン」など、従来の商品名の前に冠として「HEBEL HAUS」を付ける。グループ会社が手掛ける不動産コンサルティングや保険、金融なども頭に「HEBEL HAUS」を付けて、商品展開を図ることで、グループのシナジー効果も期待する。

マスターブランドの設定と同時に、今回の同社の動きとして注目されるのが、今後追求する方向性だ。同社は創業以来、安全・安心な住まいを一貫して追求。1998年には「ロングライフ住宅」宣言を行うなど、“住”をキーワードに展開してきた。今回、掲げた追求するテーマは「LONGLIFE(ロングライフ)」と、“住宅”という文字が消えた。背景にあるのは想像以上の時代変化だ。同社は「今や人生100年時代、生き方や家族の多様化や脱炭素社会、循環型社会など持続可能な社会の推進など、時代は想像以上に変化し、ロングライフ住宅戦略を、新しい時代にふさわしいものへと再構築することが必要な時期」と判断。「ロングライフ住宅の供給はもちろん、さらに人へフォーカスし、お客を軸とするロングライフの実現を目指す」(同社)と強調する。ロングライフは「いのち・くらし・人生」の3つを軸に置き、それぞれで商品展開を図る。「いのち」では災害時のレジリエンス向上など。「くらし」になると環境性能・健康促進などで、「人生」だと資産を守り、生かすことなどを想定する。

あいさつする川畑社長(右から2番目)
マスターブランド「HEBEL HAUS」

点検サービスや住宅ローンなど住まい手の生活変化見据えた商品投入

その第1弾が、建物定期点検サービスの60年間無料化だ。従来、30年間だった無料期間を2倍に延ばした。同社によると、現在、築30年を超える住宅ストックは約5万棟。1990年代の大量供給物件が今後順次築30年を迎える。同サービスは過去に供給された「へーベルハウス・へーベルメゾン」も対象となり、ロングライフ住宅への対応を強める。さらに、同社は今後、住宅ストックから毎年約2000棟の相続・売却があると予測。「相続など、くらし全般のコンサルティングも定期点検時に行っていく」と同社は話す。

将来の安心という視点から投入したのが新生銀行と開発した「ヘーベルハウス向け・支払額軽減住宅ローン」。ローンで返済する一定金額を最終回に一括で支払い、月々のローンの支払額を抑えることができるのが特長。例えば35年で6500万円を借り入れた場合、1400万円を最終回一括支払いにすると、通常ローンで支払う額は5100万円。6500万円をまるまる35年で支払う時と比べて、月額の支払いを抑えることができる。最終回の返済方法は、居住を継続する場合は、自己資金による完済とローン返済期限の延長、リバースモーゲージへの借換えから選べる。住み替えの場合は、グループ会社の旭化成不動産レジデンスが間に入り、売却による完済ができる。「ライフプランに合わせた住宅ローンの活用ができる」と同社は説明する。

戸建住宅「ヘーベルハウス」の一部商品では、「ロングライフ買取保証サービス」を導入。売却時に、スムストック査定に加えて、築年数に応じて独自に査定額を上乗せする。売却ができないときは、旭化成不動産レジデンスが査定額の最大90%を上限に買い取る。

技術の進歩に伴い、安全な住宅、長持ちする住宅は、いまや当たり前となっている。その家で暮らす住まい手を、どのぐらいイメージできるか ̄ ̄。同社の今回の取組みは、今後の住宅業界の販売手法のヒントを提供していると言えそうだ。

支払額軽減住宅ローンと従来ローンとの違い
買取保証サービスの仕組み